「中高年でお腹が出る」のは不摂生が原因ではない 体型を大きく左右する若いときとの違いとは

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性腺機能低下症は、男性の成長・発達などに重要な役割を果たすテストステロンが十分に産生されない状態を指します。性腺機能低下症は生まれつき、または病気、怪我、それ以外にも加齢や生活習慣によって発症する疾患です。症状は、胎児の場合は男性生殖器の未発達、思春期の場合は筋肉量、声、体毛や性器の発達の遅れがあります。

成人の場合は、性欲やエネルギーの低下、うつ病が発症の初期の兆候として見られます。症状がさらに進むと、ED、不妊、体毛や筋肉量の低下、女性化乳房、骨粗しょう症、代謝機能障害などに拡大する可能性もあり得ます(図2)。

テストステロンは非常に強力なホルモンであり、男性の健康に大きな影響を与えます。しかし、テストステロンは一般的に健康診断などでは検査項目に含まれておらず、患者本人の症状説明と専門の医師がいない限り、性腺機能低下症と診断することが困難です。

性腺機能低下症は男性のQOLを大幅に低下させます。性腺機能低下症特有の症状以外にも、低テストステロンによって肥満、2型糖尿病や循環器の障害につながる可能性もあるため、早期の診断と治療が重要です。近年では様々な治療薬が開発され、ほとんどの患者の性腺機能低下症を治療できるようになりました。

加齢による性腺の機能低下

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テストステロンが不足する状態を、性腺機能低下症と名付けていますが、ほとんどの場合は「病気」ではなく、ただ加齢によって体内のテストステロン量が低下する自然な現象です。加齢によってテストステロンの分泌自体が低下するとともに、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)というテストステロンと結合する糖タンパク質の増加によって、有効なテストステロンがさらに少なくなります。これらによって、年をとると体が使えるテストステロンが少なくなりますが、それは自然な流れであり、病気ではありません。

繰り返しますが、健常な男性でも加齢によるテストステロンの低下は自然の流れであるので、「テストステロンが少ないから病気だ」と短絡的に思わないでください。けれど、中高年が筋肉を付けるには「テストステロンが少なくなっている」ということをしっかり意識して、それなりの工夫が必要です。加齢によるテストステロンの低下は、トレーニングや食事、生活習慣の見直しなどで、改善できる可能性があります。

フィンク・ジュリウス ノース・ジョージア大学准教授

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Julius Fink

1982年、ドイツ生まれ。2006年にUniversity of Bern BSc in Economics、09年に横浜国立大学大学院国際社会科学研究科経済学専攻博士前期課程を修了。17年に日本体育大学大学院体育科学研究科健康科学・スポーツ医科学系博士後期課程を修了。博士号取得後、順天堂大学医学部泌尿器科学講座の非常勤助教として、男性の健康に対するテストステロンのさまざまな効果、特に高齢者の血中テストステロンと、代謝、心臓、肝臓、骨、筋肉や脳神経との関係のメカニズムを明らかにする研究を行っている。現在はアメリカのノース・ジョージア大学准教授として、最新のトレーニング方法、テストステロン補充療法等を研究している。

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