シダックス取締役会が「TOB反対」を続ける真意 コロワイド撤退も膠着状態、法廷闘争に突入も
シダックスの業績が回復する反面、自ら育てた事業は次々と見直されていく。「この3年間は、創業家にとってそうとう窮屈だっただろう」(関係者)。2021年、創業家が株主間契約に基づく売却交渉を始めたあたりから、創業家とユニゾンとの関係は急速に冷えていったようだ。
株主間契約では、売却請求権が2022年6月までに行使されればユニゾンの保有株式の譲渡価格は総額80億円だが、7月以降に行使された場合100億円に増え、その後も毎年、6月末を過ぎると価格が上昇する内容になっていた。その中で、創業家は2022年6月末の権利行使にこだわった。一方でユニゾン側からすれば、シダックスの経営支援にさらにコミットして、企業価値を上げたうえで売却する選択肢が封じられることになる。
オイシックス・ラ・大地の狙いもフード関連事業
そしてシダックスの取締役会にすれば、このタイミングでの売却請求権の行使は、創業家が自分たちの都合を優先しているように見える。ユニゾンが手を引き、取締役会のメンバーから抜けてしまうと、創業家主導のガバナンス体質に戻ってしまうという危惧もあるのだろう。
シダックスの取締役会は次のようにも主張する。今回のTOBが、「フード関連事業子会社の株式の過半数を当社から取得することを最終的な目的としている」(9月15日に公表されたシダックスのリリース)。
社員食堂や病院向け給食などのフード関連事業はシダックスの祖業であり、現在も売上高の約45%を占める主力事業だ。それをコロワイドが狙っていたように、オイシックス・ラ・大地もまたフード関連事業に狙いを定めているというのだ。
その証左として取締役会が挙げるのが、TOBの実施に先んじて創業家とオイシックス・ラ・大地が交わした覚書だ。覚書には創業家に対し、TOB成立後に主にフードサービス事業における業務提携を最大限推進するよう努力する義務が盛り込まれている。そして取締役会のメンバーの1人は、「事前交渉の中で、オイシックス・ラ・大地はフード関連事業の経営権の取得にこだわっていた」と主張する。