日本企業100社に経済安全保障をテーマにアンケート
APIは、日本の経済安全保障上、重要かつ敏感な日本企業100社(研究機関等を含む。以下同じ)に対し、経済安全保障に関する課題やリスク、さらには政府への期待や要望などのテーマを中心にアンケートを実施した。(実施期間は2021年11月中旬~12月中旬。アンケート結果に関する数値はすべて、回答企業が母数。100社リストは最終ページに)
その結果、75.0%の企業が、経済安全保障上の最大の課題として「米中関係の不透明性」を挙げた。実際に、事業に米中対立の「影響が出ている」と答えた企業は60.8%に上っている。また、12.5%の企業が「米中の板挟み」の状態にあると回答している。こうした状況の中で、新設された経済安全保障担当大臣への企業の期待は大きい。「政府への期待」に関する質問に対しては、47.4%が「政策の方向性の明示」、18.6%が「企業利益確保を念頭に置いた政策決定」を挙げた。
今回のアンケートから読み取れるのは、米中対立の中でも、日本は米中双方との関係をできるだけ安定させ、バランスさせる外交への期待である。もう1つ、国家安全保障と自由な経済活動の双方を両立させ、バランスさせる経済安全保障政策と産業政策への期待である。「米中のバランス」と「安全保障と経済活動のバランス」の「2つのバランス」を企業は政府に求めていると言えそうだ。
アンケートによれば、98.0%の企業が「経済安全保障を意識している」と回答し、86.9%の企業がそれに対する取り組みをすでに「行っている」。具体的な取り組みとしては、「情報管理の強化」(64.4%)や「サプライヤーの変更や多元化」(50.6%)、「専門部署の設置」(23.0%)が多かった。取締役会・役員会など経営方針を議論する場において、経済安全保障が議題になることが「毎回」「よくある」「時々ある」と回答した企業は84.0%を超えた。
企業が経済安全保障の挑戦を中長期的課題ととらえている姿も浮き彫りにされた。
「今後、日本の経済安全保障関連規制が強化される場合、貴社の事業においていちばんの懸念事項は何ですか」という質問には、72.4%の企業が「中長期的な事業計画」と回答した。これに対して、「売上」、「利益」、「経費」と答えた企業はそれぞれ10.0%近くに止まった。
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