――2014年はネルソン・マンデラ氏の大統領就任より20周年でした。この20年で南アフリカはどう変化しましたか?
ペコ大使:この20年で南アフリカは大きく変化しました。以前のイメージを持っているとビジネスのやり方を間違えてしまいます。南アフリカのビジネスにおいてキーワードは“イノベーション”と言えるでしょう。ネルソン・マンデラ氏により劇的に変化し、今、南アフリカは民主主義の国になっています。憲法で黒人にも権利が保障されており、女性のエンパワーメントもとても進んでいます。
ご存知の通り、南アフリカには人種差別と抑制という、とても難しい歴史がありました。1994年まで黒人が白人と同じ権利を持てなかったのです。黒人は好きな場所に住むこと、自由に移動することもできず、大学や就職をはじめ、夢に向かって生きる事ができませんでした。それが最初の民主主義の選挙より20年がたち、黒人、そして女性の権利、教育などが憲法で保障されています。
この「憲法」で保障されているということが大切なのです。憲法の中に入っていることで、何かあったら法廷に持ち込むことができます。それがとても南アフリカの変化にとって大切でした。
――最初は人種差別の撤廃からスタートしたと思いますが、いつから女性の権利にも注目し始めたのですか?
ペコ大使:実は女性の権利の方が人種差別の撤廃よりもっと前なのです。1956年に最初に女性たちが女性の権利のために行進しました。その頃、黒人が特定の場所に住んだり、就職するためには「パス」が必要でした。しかしそのパスは男性のみに配られており、女性にはパスをもらう権利さえなかったのです。そこで女性たちがそのパスを求めて立ち上がりました。
私の世代は、私の母の世代の女性たちの努力の恩恵を受けているのです。今、政府にも議会の中にも女性は多くいますが、憲法に女性の権利が取り入れられた後に自然に増えたわけではありません。政府のみの力では社会を動かすには足りません。必要なことは女性自身が意識を常に持つこと、理解して動くことです。それが自分たちの時代だけでなく、娘世代の社会を変え、孫の世代を変えます。
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