運を味方にできる人と見放される人の決定的な差 「自分は成功する」と期待し集中力を発揮できるか

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個人的にはこれらを確認したとき、2に示された「直観」の力に強く関心を抱いた。そこで、最後にこの部分をクローズアップしてみたい。

決断する2つの方法

直観(本能的な勘)は、ほぼ途切れることなく脳内に流れている感覚のパターンを把握しようとする力だとブラッチュリー氏は述べている。難しく感じられるかもしれないが、なんのことはない。私たちはつねに、直観を利用してさまざまなことがらについての判断をくだしているということだ。

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なお研究によれば、私たちは普段、2つの方法で決断しているという。

第1は、熟考したうえで、慎重に考え、記憶に蓄積されている知識を参照して決断する方法。心理学者はこれを「努力を要する」意識と呼んでいるそうだが、たしかに相応の時間は必要とされるだろう。

そして第2が、直観で判断をくだす方法。こちらは時間を必要とせず、とくに意識を向ける必要もなく、それでいて、熟考してくだした決断と同じように役立つ。

しかも直観は、「次になにをすべきか」を判断する際にも重要な役割を担う。事実、「どうやって察したか説明しづらいが、“なんとなくわかった”という経験をしたことは誰にでもあるだろう。それが直観であり、研究者はそれを次のように説明しているそうだ。

<たえず奔流のように流れ込んでくる感覚のパターンを、人は無意識のうちに把握しようとしている。だが、その一貫性については漠然としか認識できないため、思考や行動に偏りが生じる……いっぽう直観は、それまでの経験のすべてを反映している。>(228ページより)

すなわち直観とは、「この情報にはこんな意味があるのではないか」という漠然とした曖昧な認識なのだ。そして運がいい人たちは、運が悪い人たちよりも、こういう曖昧な感覚によく注意を払っているようだ。そのため、いま周囲で起こっていることにも積極的に取り組んだり、逆に避けたりする際にも、直観を利用しているということである。

(極論をいえば)学術的な考察はさておき、このことを頭にとどめておくだけでも、運はつかみやすくなるのではないだろうか。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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