運を味方にできる人と見放される人の決定的な差 「自分は成功する」と期待し集中力を発揮できるか

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ところでブラッチュリー氏は本書において、“幸運を引き寄せ、それを維持するうえで役立つかもしれない認知機能のツール”のひとつとして「期待(信念、希望、将来なにかが起こるという予想)」を挙げている。

期待は日々のふるまいに影響を及ぼしており、周囲で起こるふるまいをも意図せずに左右しているというのだ。とはいえ、期待が影響を及ぼしている状態を目にしたところで、それを正確に把握するのは困難だろう。なぜなら、自分がなにかを期待していることさえ自覚していない場合があるからだ。

運を鍛えるための4つの法則

では、ある状況において自分は「運がいい」と期待すれば、本当に幸運に恵まれるのだろうか? あるいは、運に恵まれる方法を人に教えることはできるのだろうか?

イギリスのハートフォードシャー大学で心理学を教えているリチャード・ワイズマン教授によると、答えは「イエス」。ワイズマンは運に関する研究の専門家であり、とりわけ、“なぜ「自分は運がいい」と考える人がいるいっぽうに、「自分はまったく運に恵まれない」と確信している人がいるのか”というテーマに関心を持っているのだという。

たしかにこれは気になる観点だが、では両者の違いはどこにあるのだろう? 遺伝? 考え方? 周囲の環境?

ワイズマンによれば、運を鍛えるための法則は4つある。しかも「自分は成功する」と期待を持つようにして集中力を発揮すれば、運に恵まれやすくなるのだそうだ。

彼が開発した「幸運のワークショップ」というプログラムにおいては、この4つの法則を実践させ、学生たちに運を鍛えさせているという。しかも実際に、運が悪い数人の学生の運を上向かせ、大きな成功をおさめたというのだから驚きだ。

ワイズマンによれば、運がいい人の考え方には次のような特徴があるようだ。

<1. 運がいい人は、日常生活でチャンスをつくりだし、チャンスに気づき(注意を払い)、チャンスに基づいて行動する。実際、運が悪い人よりも、チャンスに気づきやすい。
2. 運がいい人は、直観や本能を信じて、「本能に従って行動する」。世界に対して直観をはたらかせるべきだと考え、そうした直観の声によく耳を傾ける。
3. 運がいい人は、「自分は成功するし、目標を達成する」と思っている。そして、そのように自分の未来に期待することで、運に恵まれやすくしている。
4. 運のいい人が不運に見舞われるとーー望まないこと、恐ろしいことが起こるとーー自分のミスから学び、その経験を未来への期待に組み込む。そして、こんどはミスを回避してみせるという期待を利用して、不運を幸運に変えることができる。>
(220〜221ページより)
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