「角乗」東京・木場で受け継がれる伝統ワザの極意 保存会メンバーの林野庁幹部が20年続ける理由
2回も肋骨を折って全然平気というのは、私には信じがたい。昨夏の東京五輪で金メダルをとったスケートボードの堀米雄斗選手について、骨折などのけがを重ねながらも続けてきたという新聞記事を読んだ。そんな感じなのだろうか。
福田さんは現在、全国行脚の日々を過ごす。森林資源の保全を目指し、2024年度から「森林環境税」の徴収が始まる。先行する制度により地方自治体に資金500億円が配られたが、約5割が使われずに基金に積み立てられており、問題になっているのだ。
いちばん大事なことは、「あきらめるのをやめること」
それにしても、なぜせっかく用意されたお金の半分が使われていないのだろうか。「これは森林の手入れをするためのお金なんですけど、そもそも私有林の境界がわからなかったり、所有者が不明になっていたり、そこまで行く道がない、森林組合など事業者が手一杯、市町村の職員がいなくて手が回らないなどと、いろいろな要因があって。お金があればものごとが進むという感じではないのです」と福田さん。
昨今、私もさまざまな問題の取材で市町村の役場を訪れるたびに、職員の手が回らない現実を見聞きする。人口減社会の現実も厳しい。何をどうすればよいのか。
福田さんは「うーん」とうなって、「やっぱりまず、あきらめを捨てるということですね」と話し始めた。「今は森林整備のお金を使えなくて、積み立てにしておいても仕方がない」と思ってしまいがち。自治体を回り、「あきらめを捨ててしっかり制度と税金を使っていきましょう、知恵を絞りましょう」と呼びかけているという。
角とタメ竿のほかに、角乗に欠かせないのが、「長鉤(ながかぎ)」。竹竿の先に金具を取り付けてあり、刃先で角材を操る道具で、かつて川並が水上の木材をこれで自在に動かした。角乗の練習では、ベテランのメンバーが長鉤を使って角材の動きを調整し、補助する。
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