「ラグジュアリー」という領域
2021年3月、イタリアのファッションブランドであるヴァレンティノの日本向け動画で「モデルが着物の帯のような布の上をハイヒールで歩いた」ことがソーシャルメディアで炎上。「文化の盗用だ」という批判も巻き起こりました。
また2020年、ブラック・ライブズ・マター(BLM)と呼ばれる米国での黒人差別反対の動きに、テニスの大坂なおみ選手が賛同し、これに対してフランスを本拠とする高級ブランドのコングロマリットであるLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が「大坂なおみを支持する」という姿勢を示したニュースをご記憶の方もいるかもしれません。
今や企業が商売を考えるだけでは不十分で、社会や政治を視野に入れる必要が盛んに論じられます。そうした新しい時代の渦に先陣を切って入り込んでいるのが、これら「ラグジュアリー」という領域なのです。
この記事では、2020年代のビジネスや社会を読み解くための重要キーワード「新しいラグジュアリー」を解説しつつ、それに関連して「人文系の復権」と「文化盗用」というトピックについてもお話しします。