ついにブーム終焉?東京マラソンの「功罪」 様変わりした日本のRUNを考える

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エントリー費を含めて、レースに出場するための費用は格段に増えた。おカネがかからないと始めたランニングだけど、実際はおカネがかかる。そんな理由も、ランニング人口の減少につながっているのかもしれない。

裾野は広がったがトップは伸びず

都市型レースが増えたことで、フルマラソンに参加するランナーは大幅に増えた。ピラミッドの裾野は広がったはずだが、トップは伸び悩んでいる。この9年間で日本人選手のレベルはまったく上がっていないのだ。

東京マラソンが始まった2007年2月時点での世界記録は2時間4分55秒で、日本記録は高岡寿成(カネボウ)が2002年10月のベルリンで樹立した2時間6分16秒。当時、高岡の記録は世界歴代11位につけていた。ここから日本記録の針はまったく動いていない。一方で世界記録は2時間2分57秒まで短縮した。2007年当時の世界記録だったポール・テルガド(ケニア)の2時間4分55秒は、現在では世界歴代25位にすぎないほど、男子マラソンは超高速化が顕著だ。

一方、東京マラソンを振り返ると、日本人チャンピオンは2010年の藤原正和(Honda)のみ。このときは雪が降る悪条件で優勝タイムは2時間12分19秒と伸びなかった。そのせいか、藤原は唯一の日本人制覇となったものの、あまり騒がれることはなかった。

東京で人気者になったのは、埼玉県庁に登庁する“公務員ランナー”川内優輝と、当時“無職”だった藤原新だ。いずれも優勝争いをしたわけではなく、日本人トップという立ち位置。世界との対比ではなく、日本人にしか通用しない内容と競技以外の“付加価値”でメディアをにぎわせた。

東京マラソンは2013年大会からワールドマラソンメジャーズ(現アボット・ワールドマラソンメジャーズ)に加入したこともあり、近年は世界トップクラスのランナーが参戦するようになった。

今回はロンドン五輪金メダリストのスティーブン・キプロティチ(ウガンダ)、ジェフリー・ムタイ(ケニア)、ツェガエ・ケベテ(エチオピア)ら2時間4分台の記録を持つランナーが4人も出場。大会主催者側は、ペースメーカーに「1km2分58秒ペース」を指示して、国内最高記録(2時間5分18秒)の更新を目指していた。

その中で、かつて「山の神」と呼ばれた今井正人(トヨタ自動車九州)が奮闘した。ケベテに先着するなど7位に食い込み、2時間7分39秒をマーク。日本人選手では、2012年に藤原新がマークした2時間7分48秒を上回る現役最速タイムで、日本歴代6位の好記録だった。今井の快走を多くのメディアが絶賛したが、世界で戦おうとする選手にふさわしいジャッジを下すべきだろう。

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