「魚が獲れない」は世界で日本だけという衝撃事実 世界で見ると漁獲(生産)量は2億トンに倍増

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「スルメイカが獲れない」というニュースを聞いたことがあるかと思います。その原因として挙がるのが、外国船による操業です。ただ、その一方で、日本では、写真のように生まれたばかりと思われる小さなスルメイカを獲って売っています。これでいいのでしょうか? 自国のことは棚に上げて外国ばかり非難しても何の解決にもつながりません。

スーパーで売っていた小さなスルメイカ(写真:筆者撮影)

日本の水産資源を復活させるには?

日本の水産資源を復活させる方法にはすでに答えがあります。その答えは「科学的根拠に基づく資源管理」です。魚種ごとに漁獲枠を決め、沿岸漁業に配慮しながら漁法ごとに漁獲枠を配分する。さらにそれを漁業者や漁船ごとに配分する(個別割当方式=IQ,ITQ,IVQなど)ことなのです。

わが国の場合は、国際合意があるクロマグロを除き、漁獲枠が大きすぎてまだ資源管理が機能していません。枠の配分を見直す(少なくする)ことで、漁業者は自ら価値が低い小さな魚や、脂がのっていないなどの価値が低い時期に魚を獲らなくなります。

魚の価値は上がり、産卵して資源を増やす機会が増えてウィンウィンとなるのです。現在は、魚が獲れない⇒小さな魚まで獲る⇒魚が減る⇒魚が獲れないといった悪循環を続けてしまっています。この負の連鎖を断ち切らねばならないのです。水産庁が進めようとしている改正漁業法に基づく改革に反対するのではなく、さらに進めていくために、正しい知識に基づく国民の理解とサポートが重要です。

片野 歩 Fisk Japan CEO

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かたの・あゆむ / Ayumu Katano

早稲田大学卒。Youtube「おさかな研究所」発信。2022年東洋経済オンラインでニューウェーブ賞受賞。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。長年北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国であるノルウェーには、20年以上毎年訪問を続けてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会)、『日本の漁業が崩壊する本当の理由』他。

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