「魚が獲れない」は世界で日本だけという衝撃事実 世界で見ると漁獲(生産)量は2億トンに倍増

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上のような世界全体と日本の水揚量推移でグラフを作ると、世界と日本の傾向が明確に異なることがわかります。このグラフ1枚をベースに、学校で世界と日本の傾向が著しく違う理由に関して授業を行えば、先生も含めてその深刻さに気づくことでしょう。

世界銀行の発表をみると、日本がいかに特例であるかがわかります。世界銀行が2010年と2030年の海域別の水揚量を予測したこの表は、世界全体では23.6%増えているのに、日本の海域だけが-9%とマイナスを示しています。しかも2030年を待たずして2015年で460万トンにまで減っており、前倒しで悪化しているのです。2021年は417万トンで減少が止まりません。

日本の漁獲量の未来に対して悲観的なのは、世界銀行だけではありません。今年(2022年)にFAO(国連食糧農業機関)から発表された2020年比の2030年の日本の予想は7.5%の減少見込みとなっています。一方で、世界全体では13.7%の増加と予想されています。世界銀行・FAOと、世界が見る日本の漁獲量の未来は非常に悲観的です。

日本の水揚げが減少した本当の理由

日本の水揚げが大幅に減った原因として、マイワシの水揚げが減少していることが理由になったりします。しかしこれは誤りで、マイワシの水揚げは、東日本大震災があった2011年以降は急激に増えており、逆に全体の水揚げ減少を抑える要因になっています。

ほかにも、「獲りすぎが起きている」と本当の理由を言わずに責任転嫁している例として、「海水温の上昇」がよくあがります。もちろん海水温は資源の増減に影響しますが、日本の海の周りにだけ起きている現象ではありません。

外国の船が獲ってしまうから、という理由もよく出てきます。しかしながらこれも、マダラ、ハタハタ、イカナゴをはじめ、外国漁船の影響はあまり関係がないケースがほとんどです。

サンマについては、国際資源です。これも公海での国別の漁獲量さえ決まっていない現状では、外国ばかりを非難しても仕方がないことを理解せねばなりません。

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