モデルナvs.ファイザー、ワクチン訴訟のゆくえは 「先端医薬ベンチャー」業界地図で際立つ存在感
ファイザーのワクチンは、モデルナの”コピー”だったのか。新型コロナワクチンをめぐって「2大メーカー」同士の争いが注目を集めている。
アメリカのバイオ医薬品大手・モデルナは8月26日、アメリカの医薬品メーカー大手のファイザーと、同社のワクチン開発パートナーであるドイツのバイオ医薬品大手・ビオンテックに対して訴訟を提起したと発表した。
モデルナは、ワクチン開発において重要な、タンパク質の設計図となるmRNA(メッセンジャーRNA)に関する独自技術を保有している。これらを、ファイザーらが許可なく模倣したと主張している。
訴訟はよくあること
パンデミックが続いている間は世界でのワクチン供給を優先し、関連特許権を行使しない方針だったが、「コロナとの戦いが新たなフェーズに入った」(同社)として、訴訟に踏み切った。
実は、医薬品メーカーや創薬ベンチャーにとって、特許をめぐってのこうした訴訟は日常茶飯事だ。
国内大手医薬品メーカー首脳は「売り上げや成長期待が大きく、価値のある薬であれば、訴訟のリスクはつきもの」と明かす。
なぜなら、医薬品ビジネスは収益の源泉を特許に依存する知財ビジネスの代表格だからだ。
医薬品やワクチンは、モノによっては生み出すまでに数千億円レベルの研究開発費がかかる。一方で、特許を確立し発売にこぎつければ、製造そのものにかかる費用はわずかだ。
その中でも創薬ベンチャーは、独自の技術をベースに新薬のタネを見つけ、主に医薬品開発の初期段階を担っている。新薬のタネをある程度育てたところで、大手医薬品メーカーにその先の開発・販売権を売却(ライセンスアウト)することで収益を得る場合が多い。
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