「3つの壁」が日本企業の大問題!解消法はただ1つ 組織を強くする「カルチャー変革」の秘訣は?

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では、どうすれば「3つの壁」を乗り越えることができるだろうか。そのための手法として有効なのが「ワイガヤ」である。

【解消法】「3つの壁」を乗り越えるには「ワイガヤ」が有効

「ワイガヤ」は、ホンダで以前から行われているミーティング手法であり、その語源は「ワイワイガヤガヤ」である。

課題やテーマを共有しながら、自由にざっくばらんに話し合い、深いところにある答えを探り出していくのが狙いである。

ホンダで車体設計開発プロジェクトリーダーを務めてきた本間日義氏は、あるインタビューで「ワイガヤで最も重要なことは『主観』だ」と指摘している。イノベーションの起点はすべて個人のひらめきや思いつき、つまり「主観」である。

その「主観」を机の上に乗せ、みんなで寄ってたかって意見やアイデアを出し合い、議論を繰り返し、物事の本質に迫っていく

そこでは「建設的対立」「創造的コンフリクト」を恐れないことも重要だ。「異見」が衝突することで、思いがけない「革新的アイデア」が生まれる可能性もあるからだ。

「自由闊達な意見」が飛び交う「組織風土」が重要

ビジネスで「主観」は悪しきものとする考え方が強い。客観性や合理性が重視され、個のアイデアや感情を軽視する傾向にある。しかし、それでは何も新しいものは生まれてこない

9月28日(水)19時より遠藤功氏の「組織を強くする『現場からの風土改革』セミナー」を開催します。詳しくはこちら

「サイエンスの前では平等」というように、年齢やジェンダーにとらわれない、互いに「自由闊達な意見」が飛び交う「組織風土」にしていくことが重要である。

「ワイガヤ」は、たんなる手法や方法論ではない。

「ワイガヤ」こそが、「一人ひとりの意見(異見)を尊重する」という「健全なカルチャー」であり、そこから「新たな価値を生む」ケイパビリティへとつながるのである。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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