では、どうすれば「3つの壁」を乗り越えることができるだろうか。そのための手法として有効なのが「ワイガヤ」である。
「ワイガヤ」は、ホンダで以前から行われているミーティング手法であり、その語源は「ワイワイガヤガヤ」である。
課題やテーマを共有しながら、自由にざっくばらんに話し合い、深いところにある答えを探り出していくのが狙いである。
ホンダで車体設計開発プロジェクトリーダーを務めてきた本間日義氏は、あるインタビューで「ワイガヤで最も重要なことは『主観』だ」と指摘している。イノベーションの起点はすべて個人のひらめきや思いつき、つまり「主観」である。
その「主観」を机の上に乗せ、みんなで寄ってたかって意見やアイデアを出し合い、議論を繰り返し、物事の本質に迫っていく。
そこでは「建設的対立」「創造的コンフリクト」を恐れないことも重要だ。「異見」が衝突することで、思いがけない「革新的アイデア」が生まれる可能性もあるからだ。
「自由闊達な意見」が飛び交う「組織風土」が重要
ビジネスで「主観」は悪しきものとする考え方が強い。客観性や合理性が重視され、個のアイデアや感情を軽視する傾向にある。しかし、それでは何も新しいものは生まれてこない。
「サイエンスの前では平等」というように、年齢やジェンダーにとらわれない、互いに「自由闊達な意見」が飛び交う「組織風土」にしていくことが重要である。
「ワイガヤ」は、たんなる手法や方法論ではない。
「ワイガヤ」こそが、「一人ひとりの意見(異見)を尊重する」という「健全なカルチャー」であり、そこから「新たな価値を生む」ケイパビリティへとつながるのである。
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