アマゾンとウォルマートの勝負を分ける重大要因 DXからサービス・プラットフォーム化の段階に

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2021年には新たなビジネスモデルを発表しました。従来からのEDLPは健在ですがカスタマーセントリックを軸に従来のサービスラインを再構築しています。

新しいビジネスモデルのなかでは広告事業も目を引きます。これはウォルマート自らが運用し、自社サイトや店内サイネージなどに取引先からの広告を表示する「ウォルマート・コネクト」です。重要なのは、オンライン・オフラインの購買データをもとに広告をユーザーごとに最適化できることです。広告事業者として後発組でありながら、高い競争優位性があると考えられます。

業績面を見ると、コロナ禍に突入した当初は顕著だった巣ごもり需要が剥げ落ちていることもあり、2022年2月〜4月期決算は市場予想を下回る減益に。しかし2022年8月に発表されたウォルマートの四半期決算においては、デジタル広告事業が前年同期比で30%増という数字が目を引きました。

デジタル広告、絶対額は小さくても著しい伸び

絶対額を見れば小さくデジタル広告市場で大きなシェアを占めるものではありませんが、デジタル広告を主な収益源とするグーグルやメタ(旧フェイスブック)と比べると著しい伸び率です。

またアメリカ国内のEC売り上げは前年同期比12%増としぶとく売り上げを伸ばしている状況です。ウォルマートの発表によれば「48%もの顧客がオンラインでリサーチしてから店舗で購入している」「19%の顧客が店舗内で商品を閲覧するものの、その商品をオンラインで購入する」「85%の顧客が無料の宅配サービスを利用」とのこと。

また商品の受け取り方にしても、自宅まで配送してもらう、アプリから注文して店舗で受け取る、自宅の冷蔵庫まで食料を配達してもらえる「インホーム・デリバリー」などさまざまであり、顧客のかゆいところに手が届く充実ぶりです。既存の店舗網の整備も進めており、店舗でのピックアップは4600拠点以上、即日配達へ対応できる店舗が3800店舗以上にまで増えました。

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