健康診断「異常あり」ワースト1沖縄が抱える問題 元長寿県に起こった問題は対岸の火事ではない

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宮城氏は「沖縄26ショック」から20年あまりが経過した今も、「県民の健康状態はさらに悪化しているように感じる」と話すが、沖縄県に限らず、全国的に見ても有所見率は年々上昇傾向にある。

「国民の健康状態の悪化は日本経済の停滞と深く関係している。健康にいい食事を摂ろうとするとコストがかかり、コストを削減しようとすると、健康に悪い食事になりやすい」と宮城氏は言う。

主に先進国で構成されるOECD(経済協力開発機構)のデータによると、日本の平均所得はこの30年間でほぼ横ばい傾向だ。増加していない国は日本だけである。

経済的に生きるのに精いっぱい

これを受け宮城氏は、「国の経済力が落ちるほど、国民は生活に余裕がなくなる。たとえ有所見が出ていても、経済的に生きるのに精いっぱいであれば、受診者はそれどころではなくなってしまう」と危惧し、「日本の経済力(国民所得)を上げることが、国民の健康のための一番の薬ではないか」と話す。

つくばセントラル病院(茨城県牛久市)健診センター長の神谷英樹医師は、「職場の健診に限れば、有所見者を再検査・治療につなげるためには、事業所やそこの産業医が労働者に受診を促すことが最も効果的と考えている」という。

しかしながら、常勤の産業医や保健師が勤務するような大企業を除いては、あまり、積極的に関わっていない印象という。「職場の健診の場合、本人の意思ではなく、職場からの指示で仕方なく受診されている人も見受けられる。このような方の場合は、再検査などの受診につながりにくいため、健診後の受診勧奨といった施策のみではなく、日常の健康教育により健康リテラシーの向上を目指すことも必要であると考えている」と話す。

前出の徳田氏は、2007年9月に上梓した著書『今からでも遅くない病気にならない健康生活スタイル』(共著・西村書店)で、今後の日本を暗示するメッセージを記している。「26ショックは沖縄県だけの問題ではない。運動不足や食習慣の欧米化は、日本全体で見られる問題だ。欧米文化の先駆けとなった沖縄は、将来の日本の姿を表すものだ」。

「業務上疾病発生状況等調査」はここから参照可能
関連記事:国民の6割が健康診断で「異常あり」の深刻な事態

君塚 靖 えむでぶ倶楽部ニュース編集部 記者

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きみづか やすし / Yasushi Kimiduka

証券・金融畑の記者を経験した後、医療系記者に転身。2018年1月にメディカル・データ・ビジョンに入社。同社情報誌「えむでぶ倶楽部ニュース」編集部で医療・健康情報のデジタル化と位置付けられる、人が一生涯の健康・医療情報を自ら管理できるPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)についてや、コロナ禍で非接触型医療の新たな形として注目されるオンライン診療などについて執筆している。同社の医療情報サイト「めでぃログ」ポータル(https://portal.medilog.jp/)向けにも記事を執筆している。

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汲田 玲未衣 えむでぶ倶楽部ニュース編集部記者

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くみた れみい / Remy Kumita

2017年4月にメディカル・データ・ビジョンに入社。4年間、病院の経営支援システムのサポートに従事。その傍ら、病院のことを広く社会にも発信したいと思い、病院関係者への取材を開始。現在は同社情報誌「えむでぶ倶楽部ニュース」編集部で医療・健康情報のデジタル化と位置付けられる、人が一生涯の健康・医療情報を自ら管理できるPHR(パーソナルヘルスレコード)などについて執筆。また、医療専門誌では病院の経営改善事例などを紹介している。

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