健康診断「異常あり」ワースト1沖縄が抱える問題 元長寿県に起こった問題は対岸の火事ではない

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厚労省は5年ごとに都道府県別生命表を公表しており、沖縄県は1975年から集計に加えられた。1995年に大田昌秀知事(当時)が「世界長寿地域宣言」を出したように、沖縄県の平均寿命は女性が2005年まで全国トップを維持、男性も1980年と1985年には全国1位となった。

ところが、1995年は4位だった沖縄県の男性の平均寿命が、2000年の調査で26位に急落。この衝撃は「沖縄26(にーろく)ショック」と呼ばれた。さらに2015年の調査では、男性36位(80.27歳)、女性7位(87.44歳)に順位を落としている。

徳田氏は、「沖縄26ショック」といわれた当時を鮮明に覚えていると話す。「その頃、県立中部病院の内科に勤務しており、病院で関係者が集められ、対策を協議した」と振り返る。

ただし、沖縄の平均寿命が縮んだことは一度もない。では、何が順位を落とす要因だったかというと、2015年の数値から2010年の数値を引いた、いわゆる平均寿命の“延び”が、男性41位、女性42位と、他県に比べて鈍化しているのだ。

沖縄県は今年、本土復帰50周年を迎えた。同県の男女ともに平均寿命の順位が下がった背景には、冒頭で紹介した有所見率の要因もあると考えられる。米軍統治下で一般家庭の食卓に浸透していった「食の欧米化」の影響が考えられるのだ。

日本初のファストフード店が進出したのは沖縄だった。

県民の肥満が増え健康悪化に拍車

また、子どもの頃から、野菜をふんだんに使ったチャンプルーなどの沖縄料理を食べて育ち、健康的なカラダの基礎をつくり“長寿”県沖縄を牽引してきた、おばあ(高齢者)世代が亡くなって減っていることも関係している。こうした食の欧米化やアルコール摂取量の増加によって、県民の肥満が増え、健康悪化に拍車をかける悪循環になっている。

もちろん、沖縄県の医療機関も手をこまねいていたわけではない。深刻な状況と受け止めて、いろいろなアプローチを試みている。

豊見城市にある社会医療法人友愛会豊見城中央病院附属健康管理センター(以下、健康管理センター)は、同市からの依頼を受け、市民向けの生活習慣病予防を目的としたセミナー「スリム健康倶楽部」を継続して開催している。2020年以降の新型コロナ禍の影響で開催を断念することもあったが、人数を大幅に制限するなどして年3回のペースで続けている。

健康管理センター・センター長の宮城源医師は、生活習慣病の早期発見、そして早期介入することが健診の意義だと考える。

加えて、「生活習慣病の早期発見、早期介入ができないと、現在の食生活を含めた生活習慣をそのまま継続することになるため、生活習慣病が引き起こす心疾患、脳血管疾患による早期死亡、また死亡しなくても合併症による生活の質の低下などで、健康寿命の短縮が進むことになる」と話す。

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