DX時代に「見知らぬライバル」といかに戦うのか 「クリステンセン後」の新たなイノベーション論

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スマートフォンを「操作感が変化した携帯電話端末」と捉えていては、とてもではないが競争には勝てない。見ているものがく違うからだ。

正しいゲームは、アプリマーケット、音楽ストア、位置情報を用いたナビゲーション・システムなどを総合的に用いた、コミュニケーションとコンテンツのプラットフォーム競争だ。アップルとグーグルがその雌雄を争う中で、メーカー的な「良い携帯電話端末を創る」発想では、勝負にならなかったのも無理はない。

YouTubeが勝利を収めたインターネット映像配信もそうかもしれない。実は日本でも、以前からオンラインテレビの試みはあった。しかし、既存のテレビ局の発想から広がらず、顧客はつかなかった。

誰もが自由に映像を配信でき、自由に交流ができ、あまつさえYouTuberという新しい職業を生み出したYouTubeとは、やはり、戦っているゲームからして違っていると言わざるをえない。

そして今、この「ゲームチェンジ」を仕掛けるプレーヤーは、あらゆる業界に登場している。ほんの数年前まで盤石と見られた自動車業界ですら、その例外ではない。テスラを「自動運転のEV」として捉えてしまったとしたなら、日本の産業界は再び、取り返しのつかない過ちを繰り返してしまうことになるのではないだろうか。

ディスラプションは、エコシステムによって起こされる

ダートマス大学教授で、競争戦略論の研究者であるロン・アドナーの『エコシステム・ディスラプション』が日本の産業界に鳴らす警鐘は、実にタイムリーで、実に真摯なものだと思う。

その真価は、今日のゲームチェンジが、もはやイノベーションによるものですらなく、本書で「エコシステム」と呼ばれるものによりもたらされることを論じた点にある。

「正しいゲーム」「間違ったゲーム」という抽象表現を用いてきたが、要するに、顧客にとって本当に価値のあることは何かという問いに照らして、適切な財・サービスを総合提案するのが、正しいゲームである。

かつて産業のゲームチェンジは、製品・サービスのイノベーションによってもたらされると考えられてきた。クレイトン・クリステンセンによる著名な「イノベーションのジレンマ」の議論だ。既存のゲームを誤ったものとし、新たに正しいゲームを提案する手段は、もっぱら新機軸な製品・サービスによってであった。

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