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DX時代に「見知らぬライバル」といかに戦うのか 「クリステンセン後」の新たなイノベーション論

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  • 中川 功一 経営学者、やさしいビジネスラボ代表取締役
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記録容量の競争を過去のものとする、小型化という新しい競争軸が持ち込まれたことで、産業が一変したハードディスクドライブ業界。小型・省エネを競っていた掃除機業界で、吸引力が変わらないという新しい軸を持ち込んだダイソン。

価値の転換をもたらす製品イノベーションは、産業の序列を塗り替える。クリステンセンは、そうした価値次元の転換をもたらした新製品・新サービスを、「ディスラプティブ(破壊的)イノベーション」と呼んだ。

今日、ゲームチェンジは、企業間連合による総合的な価値提案として行われる。現代の顧客は、単独のモノとしてではなく、総合的な経験を重視するようになった(モノからコトへ)。そしてまた、かつては単独で存在していたモノが、デジタル技術によって他のモノやサービスとつながり合うことができるようになったことが、もう一つの理由だ。

かつては単独のモノとしての価値を提案することが、企業競争の基本ゲーム構造だった。しかし今日では、総合的な体験を求める顧客に、企業が連合を組んで「エコシステム」として価値を提供することが、正しいゲームになろうとしている。

こうして、クリステンセンの唱えた破壊的イノベーションの議論を発展・継承させたものとして、「エコシステム・ディスラプション」が現代の競争戦略の焦点となってくるのである。

コダックは技術でなく、エコシステムでの戦いに敗れた

典型的には、本書で中核的に取り上げている写真産業の事例がわかりやすい。フィルムカメラの時代、カメラは単独のモノとして、その性能や操作性、絵のきれいさなどを競っていた。そこに起こったのが、デジタル化である。

かつて破壊的イノベーションというものの見方が支配的だった時代、既存のカメラ・フィルムメーカーであるコダックがデジタル化に対応できなかったのは、このフィルムカメラからデジタルカメラへという既存技術の転換をうまく果たせなかったためだと説明されていた。

しかしアドナーは、よくよく調査を進めてみれば、コダックはデジカメで十分にシェアを獲得していたという事実を私たちに突きつける。そればかりか、コダックはデジタル化を見越してデジタルプリントにも乗り出し、確固たる地位をも築いていたのだ。決して、デジタル化に対応できていなかったわけではないのだ。

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