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「シンガポール政府系VC」が日本市場に注ぐ熱視線 パビリオン・キャピタルの日本担当者を直撃

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アタマプラスなど13社の日本ベンチャーに出資。シンガポールの政府系VC、Pavilion Capital(パビリオン・キャピタル)の担当者にその狙いを聞いた。

日本のベンチャーエコシステムについて、「われわれのような海外投資家にとってもいいタイミングになった」と話す平川氏(撮影:今井康一)

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日本のベンチャーに今、シンガポール政府が熱い視線を送っている。シンガポール政府が100%出資し、運用総額38兆円を誇る投資会社テマセクホールディングスは世界でも屈指の巨大ファンドだ。そのテマセクが未上場の領域に進出すべく2012年に設立した投資会社が、パビリオンキャピタルだ。
パビリオンは約1兆3000億円を運用し、北アジアや東南アジアのベンチャー企業、ベンチャーキャピタル(VC)、プライベートエクイティ(PE)ファンドに投資。2020年には約1000億円の日本専用ファンドを組成した。
日本ではこれまでに学習塾向けにAI教材を提供するatama plus(アタマプラス)や、企業のCO2(二酸化炭素)排出量計測サービスを手がけるアスエネ、小型衛星を開発するSynspective(シンスペクティブ)など、13社に出資している。
ここ数年、日本のベンチャーには海外からの投資マネーが急速に流れ込んでいる。日本に注目する理由や、彼らのアグレッシブな投資姿勢について、パビリオン・キャピタル・ジャパンの平川敦士マネージングディレクターに話を聞いた。

「各国の専門家」からの情報を結集

――なぜパビリオン・キャピタルは日本特化のファンドを設けたのでしょうか。

パビリオンは未上場の領域に特化したファンドだ。VCやバイアウトなどのファンド自体にも、個別ベンチャーにも出資する。2年前に1000億円の日本専用ファンドを組成した。各国ともやり方は同じで、投資対象はその分野でトップ10に入るファンドや会社だ。

日本は政治的に安定しており、しっかりとした技術をもち安定的に成長しているベンチャー企業も多い。

――投資基準にはどんなものがありますか。

『週刊東洋経済 2022年9/17-24合併号』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

そのベンチャーが対象としているマーケットが大きいか、競合との差別化がしっかり図られているか、グローバル化していけるか、といったシンプルなものだ。ファンドサイズが大きいため、1件当たりの投資金額も大きくなる。必然的に成長の早い企業が対象になる。

投資検討の始まりとしては、グローバルな自社の情報網とファンドからの紹介という2つのパターンがあると思う。

ほかのVCと異なるのは、パビリオンはグローバルに投資をしているので、さまざまな情報を持っている点だ。各国の有力なファンドにも出資しているので、地元の人たちとお付き合いする中でディープな情報を得られる。

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