制度改革や規制緩和、ファンドの数の拡大だけでは、日本でこれ以上筋のいいベンチャーが増える気がしない――。WiL・伊佐山元氏の提言とは。
特集「すごいベンチャー100 2022年版」の他の記事を読む
ビジョン・ファンドらが起こした「インフレ」
――日米欧でベンチャー投資を長年続けていますが、昨今の市況をどう見ていますか。
投資家にとっては、プラスとマイナスの両面があるだろう。
前提として、現状のアメリカのように金利が上がると株式市場が落ちる。それにつれてベンチャーの評価額も下がってしまう。2020年、2021年と金利がずっとほぼゼロだった。カネ余りが起きたことで、ベンチャー投資をやったことがない投資家が入ってきた。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドやタイガー・グローバル・マネジメントといった伝統的なVCではない人たちが大量に流れ込み、(ベンチャーの評価額において)金融の理論では説明できないようなインフレが起きてしまった。
そうしたインフレが起きると、2年間はまったく投資の仕事をしないという人と、仕事をしないことにプレッシャーやストレスを感じるので無理にでも投資するという人に分かれる。結局多くの人は高値だとわかっていても投資するので、今回のように市場が落ち込めば損失を出してしまう。
――プラスの側面でいうと?
今から投資しようとしている人にとっては、2つの意味で最高の環境になった。1つは評価額が適正な水準になり、以前より安く投資できるようになったこと。もう1つは、新しいテーマの投資がしやすくなったことだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら