「脳ドック」をITで価格破壊、楽天役員OBの目算 「MRIシェアリング」ベンチャーが医療を変える

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「すごいベンチャー100」2022年最新版から7社をピックアップ。「医療」領域からは、脳ドックの価格破壊に挑む「スマートスキャン」を拡大記事で紹介する。

スマートスキャンの濱野斗百礼代表は、楽天でメディア・広告事業の執行役員を10年以上務めた後に起業。「未病のビジネスで50年、100年続く会社をつくりたい」と話す(記者撮影)

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スマートフォンからネット予約し、受付から帰路につくまで30分。価格は相場の半値以下という1万7500円。検査結果は数日後にウェブで確認できる。脳の健康状態を検査する「スマート脳ドック」を展開するスマートスキャンが今、波に乗っている。

きっかけはバスの事故だった。2012年、楽天トラベルが送客していたバスサービスが関越道で事故を起こし、乗客7人が死亡する大惨事となった。バスの運転手には脳の異常が見られていたという。

当時楽天の執行役員だったスマートスキャン創業者の濱野斗百礼(ともあき)代表は、バスやトラックの運転手は首から下の健康診断しか受けていないことを医師から聞かされる。脳の状態を診る「脳ドック」は4万~5万円と高額で、会社も運転手も負担できない状態だった。

脳血管疾患は日本人の死因の上位に位置する。濱野氏は「必要なのに受けづらい。そこに商機があると思った」と話す。

試験導入の20枠に500人が殺到

脳ドックの価格が高かった原因は、MRIの初期投資や固定費の高さにあった。そこで減価償却が終わったMRIを保有する医療機関の協力を得て、楽天の会員向けに1万円の脳ドックを試験的に案内すると、20の枠に500人ほどの応募があったという。

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ただMRIを空き時間に安く提供してくれる医療機関を探しても、取り合ってくれる医師は少なかった。脳ドックは自由診療だ。あえて安く提供するメリットが医師側にはない。「脳ドックをやるといっても、放射線技師やMRI画像の読影(所見の診断)をする医師も必要。当時は何もわかっていなかった。IT業界が入り込む余地がないと感じた」と濱野氏は振り返る。

それでも需要はあるし、ビジネスチャンスも大きい。楽天では「LTV(ライフタイムバリュー)」という言葉がよく使われる。中長期で顧客がどれくらいお金を落としてくれるかという指標だ。

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