クボタがテスラ創業者と進める「農業AI化」の正体 果樹園を「スマート化」、深刻な人手不足を解消
農機国内最大手のクボタは、アメリカで研究開発拠点を拡充するなど、新技術の開発を加速させている。

クボタの北尾裕一社長は「稲作の次は果樹を制覇したい」と語る(撮影:梅谷秀司)
農業のDXであるアグリテックが進む中、農機メーカーは自動運転技術や営農支援システム、電動化などの新技術開発にしのぎを削っている。そうした中、国内農機最大手のクボタはベンチャー投資を積極化させ、アメリカでの研究体制においてさらに一歩踏み込んだ。
2021年末にはカナダの上場企業でもあり、自動運転技術に強みを持つアグジャンクション社を完全子会社化。2022年に入ってからも、先進技術開発から製品開発まで横断的に手がける「北米研究ユニット」をアメリカ・テキサス州で立ち上げるなど、動きを加速させている。
クボタはどこを目指すのか。同社の北尾裕一社長に聞いた。
テキサス州で米国拠点を統括
――アメリカには、約100億円を投じ、4月に本格稼働したアトランタの研究開発拠点もあります。北米研究ユニットを設立した狙いは何ですか。
北米研究開発ユニットを作ったのは、製品開発だけではなく、もっと基礎研究に踏み込んでいく必要があるから。現地を統括しているKMA(クボタマニュファクチュアリングオブアメリカ)の中にはそうした部隊もいて、開発はやっていた。だが、次世代研究と製品開発全体を見る必要があるので新設した。
アトランタの拠点は、試作した農機を走らせるテストコースなども新たに作って、製品開発をやっていく拠点だ。(北米研究開発ユニットは)アトランタ(の拠点)やアグジャンクション、KMAにいた技術者や今回新たに派遣するシリコンバレー駐在の技術者などを統括していく。日本の開発組織の小型版のようなイメージだ。
私はいつも、1階の製品開発事業部、2階の研究開発本部、3階のイノベーションセンターの「3階理論」と呼んでいる。北米研究開発ユニットの仕事は、この3つの機能がうまくシナジーを出せるようにすることだ。北米研究ユニットに期待するのは横断的な役割だ。
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