表情分析家が解説、香川照之氏の謝罪時心理変化 悲しみが表出、2回目の謝罪時には大きな喪失感

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1回目の謝罪時、週刊誌報道がなされた旨を説明する冒頭、及び仕事に対する覚悟を述べる中盤の場面において、まばたきが多く、眉が引き上げられると同時に眉間に力が入る表情が表れています。緊張・恐怖表情です。今後の行く末を心配する気持ちが強く感じられたゆえに生じたものと推測されます。

一方、2回目の謝罪時、「お詫び申し上げます。すみません」と発するとき、悲しみ表情に加え、眉間に力が入り、目が見開き、唇に力が込められる怒り表情、鼻の周りにしわが寄せられる嫌悪表情が表れています。

自分に対する怒りと悔しさなのか、他に向けられたものなのか、分析に用いた謝罪映像のみからは、判断できません。しかし、1回目の謝罪時に比べ、ネガティブな表情が多く、しかも、強く表れているため、事態に対する受け止め方に大きな心境の変化が生じたものと推測されます。

あの場面での笑顔は不自然ではない

ところで、2回目の謝罪時の後半、「THE TIME,」視聴者に向け、番組への想い、感謝の言葉を発している場面があります。このとき、香川氏は、悲しみ表情が表れている一方で、笑顔を見せてもいます。感謝の言葉を発する場面ですので、笑顔は不自然ではありません。問題が生じうるのは、その後再び謝罪の言葉を発する際にも笑顔が生じてしまっているところです。ここから「謝罪の気持ちが薄いのではないか」という疑問が抱かれるかも知れません。

しかし、心から抱かれる感情は、表情が顔から消えるまでしばし時間がかかるという性質を持つゆえ、感謝から謝罪の流れなので、表情の余韻が残ってしまったものと考えられます。

ここで心理の変遷を明確にするために、謝罪の言葉と表情の関係に焦点を絞ります。2回にわたる謝罪の中で、香川氏が発した「申し訳ございません」という言葉と表情の関係を観ます。同じ言葉を基準に、表情の変化を観ることで、言葉に込められた気持ちの違いを推し量ることが出来ます。

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