大成功者を生む「7つの本質的な質問」の絶大効果 美しい答えを得られるのは美しい質問ができる人

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「問い」の大事さを示す事例は無数に存在し、たとえばデル・テクノロジーズの創業者マイケル・デルは、創業時に「いまのコンピュータの価格が、全パーツを合わせた金額の5倍もするのはなぜだ?」という問いに取り組み、最終的に販売店を通さずに、客と直に取引するビジネスモデルを発案。劇的なコスト削減に成功し、わずか15年で会社をアメリカ市場1位に育て上げました。

同じように、セールスフォースの創業者マーク・ベニオフは、「多くの会社がネットを使わずにソフトをインストールしているのはなぜだろう?」との問いからビジネスをスタートさせました。この疑問を考え抜いた結果、ベニオフはクラウドコンピューティングの発想を思いつき、その後はフォーブスの「世界の革新企業ランキング」で4年連続1位に選ばれるほどの成長を遂げました。

そこまで大規模な例でなくとも、ふと頭をよぎった疑問から良いアイデアを思いついた体験は誰にでもあるでしょうし、難しい問題を解くために「逆に考えたらどうだろう?」と意図的に問いを立てる人もよく見かけます。詩人のE・E・カミングスが言うように、「美しい答えを得られるのは、いつも美しい質問ができる人」なのです。

イノベーションに欠かせない7つの本質的な質問

そこで、イノベーションのため、「SEIQ」 という質問セットを使って「商品が刺さる本能の種類を増やすことはできないか?」を考えてみましょう。

拙著『ヒトが持つ8つの本能に刺さる 進化論マーケティング』でも詳しく解説しているSEIQは「イノベーションに欠かせない7つの本質的な質問」(The Seven Essential Innovation Questions)の略で、ストラテジストのビル・オコナーが、カリフォルニア大学バークレー校との共同研究で開発したものです。

オコナーらは人類の歴史を旧石器時代から洗い直し、現代までに世に出た発明のなかで影響力が大きかったものを1000種類近くも選別。通貨、カメラ、コンピューター、インターネット、ジャズ、フェイスブックなどのイノベーションが生まれた背景に共通するパターンを約60種類にまで集約したうえで、それぞれを7つの質問としてまとめました。その結果できあがったのが「SEIQ」です。

注目すべきは、過去260万年におよぶ人類の歴史からイノベーションの事例を集めたところでしょう。「オズボーンのチェックリスト」や「SCAMPER(スキャンパー)」のように、創造性の改善に使われる質問セットはいくつか存在しますが、先史時代から現代におよぶ発明の歴史を掘り起こした研究は他にありません。

調査の対象には、火の使用、車輪の登場、ゼロの概念といったものまで含まれており、人類が起こしたイノベーションの精髄が詰め込まれています。商品に新たな魅力を加えたいなら、使いたい内容です。

次ページ一見すると簡単そうな質問ばかりだが……
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