人口65万人「世界イチ住みたい街」に日本が学ぶ事 過疎化に悩む日本の地方の街づくりのヒントに
「世界一住みたい街」と言われるアメリカ・ポートランド市。千葉県・船橋市や鹿児島市ほどの人口の小さな街だ。しかし、その小さな街に世界中から毎週数百人という移住者がやってくる。現時点では新型コロナウイルスの影響でその数は鈍化しているが、それでも今もなおポートランドは世界中の多くの人々の心を魅了し続けている。
筆者は、ポートランド市の開発局(PDC)に唯一の日本人として入局し、魅力を高めるための「街づくり」の現場に携わってきた。多くの日本の地方都市が過疎化に悩む中、どうやって街の魅力を高めたのか、そしてそこから多くの人々を招き入れるための必要な手法とは何だったのか、この経験から得られたことを日本の街づくりの未来として提言したいと思う。
「コンパクト」であることの重要性
アメリカ西海岸オレゴン州、シアトルとサンフランシスコの間に位置するポートランド市は、人口65万人というコンパクトシティだ。さらに的確に表現をすると、「コンパクトであることを選んだ」街だ。
ポートランドの人々は、住居から「20分圏内」で日常に必要なもののほぼすべてを手に入れることができる。それぞれの職場には、徒歩や自転車、公共交通機関で20分あればラクラク行ける距離にある。
コロナ禍の現在も不自由感はない。テレワークをする人々が増えたが、ポートランド住民の自宅近くには、テレワークに便利なカフェがたくさんある。中心部まで出なくてもおしゃれなレストランやバーも近所にそろっているので利便性は抜群だ。
地元の農地で作られる新鮮な野菜や果物を安価に手に入れることができるので、週末はオーガニック食材を調達し、家族や近しい友人とバーベキューを楽しんでいる人々も多い。
また街がコンパクトなので、車で少し走ると映画で見るような大自然に身を置くこともできる。「20分圏内」の街づくりによって、コロナ禍でも人々の生活は充足し、困窮することはない。
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