人口65万人「世界イチ住みたい街」に日本が学ぶ事 過疎化に悩む日本の地方の街づくりのヒントに

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市民が政治に参加する土壌があるのも、ポートランドの「街づくり」の成功に一役買っている。ポートランドのあるオレゴン州は、1859年にアメリカ合衆国の33番目の州として認められた地で、新天地を求めた開発者たちが集まって街を築いた。

そのため西海岸特有のヒッピー文化も根強く残り、新しいものや個人の幸せを追求する気質の人が多い。“市民が自分の幸せのため”に積極的に街づくりに参加していることも成功の大きな要因ともいえる。

日本では行政が開発業者とプランを作り、まとまった段階で市民に対し形式的な説明会を行うのが一般的だ。しかし、ポートランドではかなり早い段階からミーティングやワークショップを行い、街の開発のプロジェクトに対する市民の意見や思いを汲み取るという手法をとっている。

これからの2035年の完成を目指すポートランド中心部の長期都市計画「2035 Comprehensive Plan」では、計画の段階で18カ月かけて市民とデザイン・ワークショップを開催してきた。累計約2200人の市民が参加し、各分野の専門家や市の職員、地権者などと意見を交わして計画を作り上げた。

近隣活動組織も

またポートランドには、「ネイバーフッド・アソシエーション」という近隣活動組織もある。市に認められた唯一の公式近隣組織であり、個人単位で志願し加入することができる。

「ネイバーフッド・アソシエーション」は地域の活動以外にも、都市計画や市の予算編成など多くの権限を与えられている。活動はボランティアなのだが、市から活動予算やさまざまな支援を受けられ、これにより街づくりをはじめとする市政に早い段階から参加することができるという特徴がある。

それゆえポートランドのような「街づくり」とは、行政や開発業者がハード面を整備することだけを意味するものではなく、その本質は街づくりに積極的な市民を育んでいく「人づくり」にあると筆者は思っている。

次ページ「ハコモノ」から脱出し、まずは「人ありき」の”街づくり”へ
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