人口65万人「世界イチ住みたい街」に日本が学ぶ事 過疎化に悩む日本の地方の街づくりのヒントに

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日本での街づくりというと、街のシンボルになるような建物が建設され、それにより集客を図ることが多い。しかしそれは一時的な観光客を生むだけで、その街に根付こうとする気持ちまで引き寄せられない。

それに比べると、ポートランドには観光名所になるような建物はほとんどない。それでも、街を歩いていると、気になる店を見つけたら入ってみたり、木陰のベンチで休憩し本や雑誌を読んだりと、心地よい雰囲気がある。

「コンパクトで利便性が高いことに加え、街の要素が多彩であること」、それがこの街の魅力を一層高めている。

SDGsな街としても知られる

ポートランドは、SDGsなサスティナブルな街としても注目されている。その街づくりの基本となっているのが、ポートランドで生まれた「エコディストリクト」だ。

この「エコディストリクト」とは、地区の建物、街路、交通網、上下水道網などの間でエネルギーや水を融通し合うことで使用量を削減し、CO2削減につなげようという仕組みである。

例えば、建物の屋上で溜めた雨水を公園の噴水に再利用したり、冷暖房装置を一棟ごとではなく複数の建物で融通したりと、建物単体でなく地区全体で節約に取り組むことで、相乗効果を得ることができるという考えだ。

もちろん、「エコディストリクト」を実現するのは簡単なことではない。

市の各部署をはじめ、さまざまな民間企業、地域住民等が合意し、協力していく必要があるからだ。

「エコディストリクト」の先駆けとなったのは、「ブルワリー・ブロック」という100年以上前からあるビール工場や倉庫などの再開発プロジェクトだ。1999年にプランを作り始め、完成したのは2004年。5年もの歳月がかかったが、「ブルワリー・ブロック」は「エコディストリスト」の象徴的な事例として今もなお市民から愛され続けている。

現在、ポートランドは経済成長とCO2削減を両立させることに成功している街として世界中から評価されている。またアメリカ国内や海外でもポートランドに続けと「エコディストリクト」を導入し始めた都市も増え始めているのが現状だ。最近では、CLT(直交集成材)を使った大型ビルの建設も進んでいて、「エコディストリクト」も更に進化している。

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