人口65万人「世界イチ住みたい街」に日本が学ぶ事 過疎化に悩む日本の地方の街づくりのヒントに
日本の地方都市は今、ポートランドから何を学ぶべきだろうか。
今まで述べてきた手法の多くは、もちろん一朝一夕にできることではない。しかし、どんな地方都市にも今すぐに始められることがある。それは、先に述べた「人づくり」だ。
ポートランドの場合は、都市開発をする際にはまず、住民の声を聞くことから始める。大事なのはワークショップなどを開き、市民がこの街でどのような暮らしをしたいかというニーズを把握することだ。そして市民と共に開発プランを練っていくところに、ほかの都市とは違う特異性がある。
日本の街づくりは、まず行政と開発業者がコンセプトを作り、建物などのハコモノを作ることから始まりがちだが、「まずは住民ありき」の姿勢をとり、住民を都市開発に巻き込んでいく発想こそ、日本の地方都市が学ぶべきことだと思う。
例えば、筆者が数年前に開発に携わった千葉県の「柏の葉キャンパス」というプロジェクトでは、ポートランド的な発想を随所に盛り込んだ。
計画段階でワークショップやミーティングを何度も開き、あらゆる世代の住民の声を聞くことで、「駅近くに公園が欲しい」「この場所にベンチがあったら」など、開発サイドが想定していなかった彼らのニーズを知ることができた。
またこのプロジェクトにおいては前述の「ミクストユース」の考え方も取り入れ、当初はオフィスビルになるはずだった建物の1階や2階に小売店や飲食店を誘致した。「20分圏内」の街づくりに倣い、徒歩圏内にあった貯水池を生かして、そこに街の人々が憩うことのできる親水公園も整備した。ここは日本でも数少ない「コンパクトシティ」の成功例だと自負している。
日本の「街づくり」の未来はここから
日本の人口減少は、残念なことに歯止めがかかりそうにもない。地方都市の若年層の流出、過疎化は今後も一層深刻になっていくことだろう。
しかし、希望を捨てるのは時期尚早だと思っている。
なぜなら日本には、コロナ前には世界中の観光客たちが殺到していたほどの豊かな自然、歴史文化遺産等が数多くあるからだ。それらの財産を上手く活かしながら街をコンパクトに再構築することができれば必ずその街は再生できるはずだ。
今からでもまだ間に合う。環境主義、地球主義、しいては人の営みの豊かさを目指して日本の中でもサスティナブルな街づくりを本気で始めていこうではないか。
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