LDLコレステロール値を下げるには、肉の脂身や加工食品、菓子類などコレステロールの原料となる飽和脂肪酸の多い食品を減らし、不飽和脂肪酸の多い食品、具体的には大豆製品や種実や食物繊維が多い野菜、果実、海藻類、きのこ類がすすめられる。
「LDLコレステロールについては、低いほど心筋梗塞のリスクは下がりますが、私どもの追跡研究ではLDLコレステロールが80mg/dl未満で脳出血のリスクが高くなることが示されています」(今野さん)
一方、HDLコレステロールを高める効果があるのが運動だ。
最後は中性脂肪。高いと動脈硬化のリスクになる。基準範囲は30~149mg/dlで、150mg/dl以上は要注意とされている(ここから上の区分はない)。
「男性に比べ、女性ではより心筋梗塞のリスクが高いので、改善に努めるべき。中性脂肪は食事の影響を受けやすく、魚以外の脂質や糖質、アルコールを控え、魚の脂肪を多めにとるように心がけたいですね」(今野さん)
魚特有の脂肪酸である魚油(n3系多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸:EPAやドコサヘキサエン酸:DHA)はカプセル剤で、薬としても認可されている。
適切に健診を受けるポイントは…
健診の数日前から、「いい数値を出そう」と慌てて食事療法や運動に取り組むのは、決して好ましいことではないという。
「健診が終わって元の生活に戻ってしまっては意味がありません。学校の成績表と違って、自分をよく見せる必要はありません。これはほかの検査でも言えますが、いつもの食事、いつもの生活を送り、ありのままの状態で健診を受けてください。そして、結果を客観的に評価する。これが健康診断を利用する上手なコツと言えるのです」
【健康診断】40代以上なら絶対受けたい検査5つでは、がんや全身病の発見にもつながる特定健診に追加したい他の検査について、紹介する。
(取材・文/狩生聖子)
今野弘規医師
1993年筑波大学医学専門学群卒業。大阪府立成人病センター集団検診第Ⅰ部医員、大阪府立健康科学センター健康開発部主幹兼医長、大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学准教授などを経て2022年4月より現職。専門は脳卒中・心臓病や糖尿病などの生活習慣病の疫学研究に基づく予防医学と公衆衛生。
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