北朝鮮で育った男が驚愕した「日本文化の異様」 日朝の文化に共通点がある一方で大きな違いも

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一方、そんな韓国でも自殺率が高いのは不思議だ。OECD国家の中で韓国の自殺率は、いつもトップクラスだ。2019年は人口10万人当たりの全年齢自殺者数が24.6人と、OECD平均の2倍以上となっている(日本は14.7人)。

その背景には韓国の学歴偏重社会が関係していると言われているが、僕もそう思う。

北朝鮮で読んでいた日本のミステリー小説

北朝鮮では、叔父から本を借りてよく読んでいた。本が好きというよりも、ほかに娯楽がないからだった。

『僕は「脱北YouTuber」〜北朝鮮から命がけで日本に来た男』(光文社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

その中には、朝鮮語に訳された日本の小説もあった。現地のタイトルでは『最大急行「ふじ」の殺人事件』という本だった。作家の名前は覚えていないが、「ふじ」という急行列車で起きた殺人事件を追う刑事と記者のロマンスが新鮮だった。とくにロマンスは朝鮮語訳版でカットされていた部分があるはずなので、今度原典と照らし合わせてみたい。

ほかは中国の小説や『モンテ・クリスト伯』、そして『金日成回顧録 世紀とともに』全8巻。北朝鮮で配られている教養資料の冊子も読んだ。本を読むこと自体はとても楽しかった。ランプの下で夜遅くまで読んでいると祖父に怒られたり、朝起きるとオイルランプのすすのせいで、黒い鼻水が出たりもした。

今は北朝鮮で読めなかったあらゆるジャンルの本を読んでいるが、日本に来てからは自己啓発を中心に手を伸ばしている。架空の物語よりも、社会の現状を自分なりに分析することに興味があるからだ。

エリン・メイヤーの『カルチャー・マップ』、ダン・アリエリーの『予想どおりに不合理』など著名なものには目を通しているが、中でも最も興味深く読んだのはアメリカの組織心理学者、アダム・グラントの『ORIGINALS』と『GIVE&TAKE』の2冊だ。僕はアダム・グラントの発想が好きで、彼の本はとてもよく読んでいる。最近も新著を手に入れたばかりだ。

キム・ヨセフ 脱北YouTuber

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きむ・よせふ

1985年、朝鮮民主主義人民共和国の北東部・咸鏡南道に生まれる。10歳のときに母、姉3人と死別、父と離別。小学校をやめ、弟と路上生活を始める。11歳で弟と生き別れ、祖父母の家に身を寄せる。18歳で一度目の脱北を試みるも失敗し、白頭山のふもとにある留置所に送られる。23歳で二度目の脱北を試み、豆満江を越え中国へ。ベトナム、カンボジアを経て24歳で韓国へ入国。28歳で日本に語学留学し、大学を卒業したのちに会社員の仕事のかたわら、YouTubeチャンネル『脱北者が語る北朝鮮』を開設。北朝鮮に関する動画を発信し続けている。

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