(1) の適材適所は、新卒一括採用の伝統を崩したいが、現実的に成功する方法は難しい。もはや新卒一括採用一辺倒ではだめなのは明らかで、どうやっても多様な人材は同じ組織に同じ期間いたら育たない。
しかし、公平性が最優先の日本の組織では、多様な人材が多様なキャリアで来たのを、幅広く評価する能力もないし、そもそもその気概がない。「評価は間違うものだ」、という前提でトライアンドエラーをするシステムがないというよりは、それにつきすすむガッツがない。結局、消去法的に、これまでの新卒一括採用システムに閉じこもってしまう。そして、ガッツのない学生たちも、そのシステムに喜んで身を投じる。この現状維持均衡から抜け出す妙案はない。
「20歳で大学卒業、3年働いて大学院」を標準形に
妥協案として(という割には大掛かりだが)、中学・高校を現在の各3年計6年間ではなく、5年一貫の義務教育とする。一方、大学を3年にして、就活を大学在学中は一切禁止する。現在は、1年ぐらいほぼ就活しているから、大学の教育量は減らないだろう。
こうなると20歳で大学を卒業するのが普通になる。ここで、ほとんどの人が就職するが、そのほとんどが3年程度働いた後、大学院に進学する。これを標準形にする。アメリカのビジネススクールは、まさにこのような感じである。この改革案のメリットは、「人生最初の就活は、職業人生を決定づけない」ということを明白にできることだ。
働いてみないとわからないことはたくさんある。インターンとは違う。数年働いてみて、自分が長期に働きたい仕事が自分で認識できる。そして、次は、就職活動も2回目だから、人生初体験で人生を賭けるというような悲壮な就活でなくなるから、学生の側も採用側も、リラックスして、むしろ合理的な意思決定ができる。
そして、大学院卒業後のマッチングはどちらも大人と大人の契約で、より適切にサーチできるし、契約交渉できる。現在の就活システムでは、学生側の立場が弱すぎる。
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