日本復活には「20歳で大学卒業」を標準にすべきだ 経済成長のために「賃金上昇は必須」ではない

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問題はシステムが失われ、すべてが機能不全に陥っている、今の日本の労働市場システムをどうするか、ということである。

もう一度、冒頭の問題、「賃上げ」に戻ろう。

高度成長期の日本システムでは、賃金水準は企業の拡大に応じて自然に上昇していけばそれでよかった。だから、ことさら賃上げの難しい問題はなかったのである。労使交渉は過激だったこともあったが、ある意味、非常に単純な戦いで、落としどころも見つけやすかった。

しかし、現在の環境での賃金上昇は、私の前回の記事によれば、闘争が必要だ、ということだ。となると、組織や経済全体の価値を縮小させる、無駄な競争や、活動、戦いが行われる。

転職しないと給料は上がらないから、現在の会社を辞めて次をつねに狙う。しかし、次に自分を高く売るためには実績がないといけない。そのためには、会社のパフォーマンスがどうなろうとも、自分の能力が高く見えるようにしないといけない。

適材適所と人的資本蓄積をどう改善すべきか?

よって、企業の最適戦略と個人の働き手の努力戦略、人的資本投資戦略は大きく乖離する。企業も個人に投資したら逃げられるだけであるから、敵に塩を送るような人的投資はできない。個人ももちろん企業のためになるような投資はしない。最悪である。

個人レベルの3つの問題でいえば、これは冒頭の(3)の人的資本蓄積が大きく阻害されるということで、これを解決するシステムを作ることが最重要問題である。また、(1)の適材適所の問題は、新卒一括採用に支配されている労働市場を変えないといけない。(2)のインセンティブの問題などは企業内部の工夫でどうにでもなる。この2つの問題を解決するシステムを提案しなければいけない。

現在のところ、私には良い案は思いつかない。情けないが、難しい。そこで現時点で以下のつまらない妥協案を提示しておく。後は、今後の私への重い宿題として、ぜひ読者の皆さんにも考えていただきたい。

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