寝ていたトランプ支持者を起こしたバイデン政権 11月8日の中間選挙を控えたアメリカにご用心

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バイデン政権は、やっかいな「この人の熱烈な支持者たち」を起こしてしまったかもしれない(写真:ブルームバーグ)

このところ週に2~3回の割合で、2枚のグラフをチェックしている。

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

1つはジョー・バイデン大統領の支持率(President Biden Job Approval)で、一時は3割台にまで落ち込んでいたものが、7月末から40%台を回復している。

天下の合衆国大統領としては、4割前後の支持率はもちろん威張れる水準ではないのだが、それでも一時の不人気ぶりが「底打ち」したことは大きい。11月8日の中間選挙投票日が近づいていることを考えれば、けっして悪い話ではないはずだ。

もう1つは、中間選挙のジェネリック投票(2022 Generic Congressional Vote)である。「ジェネリック」というのは医薬品のことではなく、「今日が投票日だとしたら、あなたはどっちの党に投票しますか?」という世論調査のことだ。昨年末からずっと、多いときは5ポイントくらい、少ないときでも2ポイント程度、一貫して共和党(赤)が民主党(青)をリードしていた。それがなんと、7月末からほとんど横一線に並んでいる。

なぜバイデン大統領と民主党は巻き返しつつあるのか?

2枚のグラフは同じことを告げている。すなわち「ここへきてバイデン大統領と民主党が息を吹き返しつつある」ということだ。

なぜそんなことになったのか。今月に入ってからの主要な出来事を思い出してみよう。以下を見ていただきたい。

<8月は怒涛の季節>
8月1日  米軍がアルカイーダ指導者、ザワヒリ氏をドローンで殺害
3日    カンザス州の州民投票が合法的な人工妊娠中絶を59%対41%で容認
3~4日  ペロシ下院議長が訪台して中国が猛反発
5日   7月雇用統計。失業率は史上最低の3.5%に改善
8日   FBIがマー・ア・ラゴのトランプ邸を強制捜査
9日   総額2800億ドルの「半導体支援法」が成立
10日   7月CPI統計。前年比8.5%増も物価上昇はピークアウトした可能性あり
16日   増税と気候変動対策費などを組み合わせた「歳出・歳入法」が成立

半年ほど停滞していたワシントン政治が、今月になって急に動き始めているのである。

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