集中力の続かない人が重視すべき持久力の鍛え方 まず取り組むべきは持久力を強化すること

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タスクに取り組む前の「儀式」は不要ですが、タスクに取り組んでいる最中に「脱力」などをするのは効果的です。テニス選手がサーブ前にボールをトントンとコートに突くのと同じです。

たとえば、数学の問題に取り組んでいるとき、頭の中で「さて、この問題はどうやって料理するかな?」と考えたり、1問解けたらリラックスして肩や首を回したり……。たとえ1時間でも「集中状態」はずっと続かないという前提で、メリハリをつけてリラックスや脱力を組み込んでいくのです。
「脱力」と「集中」を上手に配分できれば、いわゆる「集中力が切れる」という状態を防ぐことができます。

一般的に「集中力が切れた」という状態は、頭がボーッとして次の問題文を読むことが困難になるような状態を指します。それまでの時間に、上手に「脱力」を組み込んでおかなかったのが大きな原因です。

持久力が続かずに、雑念ばかりになってしまう場合も、とくに初心者には多いかもしれません。集中力をつける大前提として、そもそも持久力が不足するとこのようなことになります。ですから、集中力をつけるためには、まず持久力を養う必要があるのです。

小学生でも「持久力」は身につけられる

また、机に向かって一定のタスクをこなす時間を長くすることができれば、おのずと「脱力」と「集中」の配分も上手に取れるようになっていきます。

典型例が、私の娘のケースです。小学校低学年のときの娘は、机に向かっても、おしゃべりしたり机の上のものに触ったりして、まったく宿題に集中できませんでした。

そこで私は「宿題が終わるまでは、ほかのことをやってはいけない。おしゃべりも禁止だ」と言って、娘の机のうしろの椅子に腰掛け、経済学の本や英字新聞を読むようにしました。娘は途中で何度も私に話しかけてきましたが、そのたびに「今は宿題」「おしゃべり禁止」などと言ってはねつけました。

そうこうするうちに娘は、宿題が終わるまでの30分程度は、黙って机に向かうことができるようになりました。やがて、驚くべきことに、宿題を解くスピードがどんどん上がっていったのです。30分が20分、15分、10分になり、実際に私が「本当に全部終わったの?」と言って確認すると、完全にできていたのです。

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