集中力の続かない人が重視すべき持久力の鍛え方 まず取り組むべきは持久力を強化すること

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さて、あなたがスキルアップや資格取得、あるいは入学試験などに向けて、1時間続けて勉強しなければならないとしたら、どうすればいいでしょうか?

1時間まるごと「集中」することは不可能です。必ず「持久」の時間ができます。1時間の中で「持久」の割合を減らし、「集中」の割合を増やすことができれば、勉強効率はアップします。ただし、気をつけなければならないのは、いきなり「集中」の割合を長くし過ぎると、疲労が襲ってくるということです。

短い制限時間の中で、多くの問題を解かなければならないペーパーテストを受けていると、必死になって制限時間内に問題を解こうとするはずです。あなたにも経験があるでしょう。

そして、試験終了後にどっと疲労に襲われます。普段から試験練習をしていないと、制限時間が終わるまでに邪念ばかりが頭に浮かんできて、解き残しの問題がたくさん出てしまうものです。

まずは「持久力」を強化せよ

幸い、私たちの脳は、筋肉のように鍛えることができると、ベストセラー『スタンフォードの自分を変える教室』(大和書房)の著者であるケリー・マクゴニガル氏が説いています。

練習して鍛えれば「集中脳」をつくり上げることができるのです。つまり、一定の時間に課題やタスクに取り組むための持久力と、その時間内に「集中」時間を広げて、適切に分配する力を鍛えるということになります。

たとえば3時間の試験を受けるとすれば、まず3時間は机に座って、試験問題に取り組む持久力が必要になってきます。1時間でギブアップするようではどうしようもありません。3時間の持久力ができたら、次に「集中」の状態を増やして、適切に配分する力を養う必要があります。

昔の司法試験では、択一試験は3時間で60問(憲法、民法、刑法各20問)を解かねばなりませんでした。あくまで私の経験ですが、試験勉強を始めたばかりのころは、3時間も試験問題に向き合う持久力がなく、1時間くらい経過すると頭が雑念だらけになったものです。

それでも気を取り直して問題文に向かいましたが、案の定、60問の問題文に目を通すことができませんでした(何問か解き残して、適当にマークしました)。何度かトライしていくうちに、3時間の持久力はついてきました。しかし、ケアレスミスも相当数ありました。持久力はついたものの、「集中」時間や配分が不十分だったのでしょう。さらにトライを重ねていって、ようやくケアレスミスがほとんどなくなりました。

この例からわかるように、「集中」時間を長くしてうまく配分しないと、肝心なところで注意力が散漫になり、ケアレスミスが増えてしまうのです。

「普段だったら、こんな〝引っかけ問題〟なんて楽にクリアできるのに……今回の模試ではやたらと引っかかってしまった」

こんな経験を、あなたも一度や二度はしているのではないでしょうか?
試験時間中、しっかり問題に取り組んでいたので、持久力はあったのです。しかし、「集中」時間の増加や配分の訓練をしていなかったことから、ケアレスミスをしてしまったのです。

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