楽天モバイル、「初の契約者純減」の先に待つ関門 競合キャリアやMVNOへ「0円ユーザー」大量流出

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ただ、そもそも0円プランの廃止に伴うユーザー減自体に驚きはない。三木谷社長自身も「これまでまったく使わず、ずっと0円だった人もいる。一定の離脱はしかたない」と語る。むしろ、今後重要となるのはユーザーの離脱を下げ止めると同時に、ドコモなど主要キャリアと同じ土俵にしっかりと立つことができるかどうかだ。

直近では、力を入れてきた4Gの基地局整備が一巡しつつある。2022年6月末時点では、人口カバー率が97.6%に達した。都市部を中心に、国内の主要エリアはほぼ網羅しつつある状況だ。

それに伴い、地方顧客の開拓が視野に入ってくる。楽天は自社でカバーしきれていないエリア・地点において、KDDIに利用料を支払って、回線を借り受けるローミング契約を交わしている。この費用が重いため、ローミングエリアの利用者にはデータ利用量を最大5GBまでとしている(自社エリア内の利用者は3278円でデータ利用無制限)。

首都圏など都市部を基盤としてきた楽天モバイルだが、地方部に自社エリアを拡大できれば、契約者を上積みできるとみているわけだ。今後も地方部などで基地局建設を継続するほか、「9月にも通信衛星のロケットを打ち上げ、日本全国をカバーできるようにする」(三木谷社長)。また、通信がつながりにくい屋内や地下空間などには専用基地局を設置して対応しているという。

切望するプラチナバンドの割り当て

主要キャリアと戦ううえでもう1つ重要なポイントが「プラチナバンド」をめぐる動きだ。楽天モバイルは新規参入事業者ということもあり、国から割り当てられている周波数帯が少ない。そこで同社が割り当てを強く求めているのがプラチナバンドだ。

プラチナバンドは障害物を越えてつながりやすく、広範囲をカバーするのに適していることから、エリア整備をするうえで優位性の高い700~900MHz周波数帯のことだ。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが長らく継続して割り当てられており、楽天モバイルも割り当てを目指している。

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