森永卓郎さんが明かす「相続は地獄の作業だった」 糖尿病にライザップ、今農業と実は波乱な半生

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――銀行預金のほかには遺産はあったのですか。

父が相続で唯一貢献したことは、所有不動産が都内のマンションしかなかったことだ。

不動産の鑑定はものすごく面倒くさい。実は私は、手続きを全部自分で成し遂げようと思っていたが、不動産鑑定で行き詰まって税理士に手伝ってもらった。マンションの前の道路を挟み、反対側にマンション所有の飛び地の駐車場があって、その評価がわからなかった。建物は固定資産税の評価額なので、素人でも大丈夫だが、土地の評価は難しい。

しかも相続税は10カ月以内に現金払いだから、不動産を相続しても、手持ちの現金が少なければ、納税に窮する恐れもある。

――相続人は森永さんお一人だったのですか。

いや、弟と2人。父を10年ほどウチで介護していたので、その分を考慮してもらおうと思っていたが、弟が「法律どおりに折半しよう」と言ってきたので、“争続”にするのも嫌だったし遺産を折半した。特別寄与料が認められる以前だったとはいえ、介護の大部分を担ってくれていた妻が「それは不公平では」と漏らしていた。ただ、介護で使った領収書などエビデンスを何も残しておかなかったので、どうしようもない。

――ほかに親からの相続で苦労したことはありましたか。

苦労とまでは言えないが、父から相続した株を売却したら、売却益に対して所得税がかかった。すでに相続税を払っているから、二重課税だと思うが、これがルールだからどうしようもなかった。株は全部売った。

ライザップで20㌔㌘の減量に成功、リバウンドなし

――森永さん自身、奥さんや子どもへの相続について、どのような準備をしていますか。

まずは預金リストの作成。これがあれば、私の経験上、相続作業が数カ月短縮されるので、いち早く着手した。パソコンに保存していたファイルを念のため、妻にも送信していたが、2019年暮れにパソコンが“突然死”。リストを作成するのがけっこう大変だったので助かった。パソコンだけに保存しておくのは危険だと痛感した。

私の資産で最も問題なのは、約50年間でコレクション約12万点を展示した「B宝館」(埼玉県所沢市けやき台2-32-5、開館は毎月第1土曜12~18時)。トミカシリーズなどのミニカーや有名人の名刺、フィギュア、ハンバーガーの景品、歴代コカ・コーラの空き缶、横浜崎陽軒のしゅうまいの醤油入れ、指人形、携帯ストラップ、貯金箱などがあります。

毎年200万円くらい赤字が出ていて、子どもたちは“最大の負の遺産”と呼んでいる(苦笑)。テレビ局が鑑定士と弁護士を連れてきて、全館鑑定をしたら、結果は査定額ゼロ。収録後、弁護士が「森永さん、よかったじゃないですか。相続税が1銭もかからないですよ」と言ってくれたが、嬉しくない。今、次男に引き継ぎを説得しているが、頭を抱えているようだ。

――遺言書は準備していますか。

あればいいと思うが、B宝館の問題があるので、その扱いを決めてからでないと書けない。B宝館に持参金をつけないと。

――森永さんは相続以外にも糖尿病などで苦労されましたね。

ピーク時は体重が106㌔㌘あったと思う。もう糖尿病がひどくて、吐き気がしたり、胸が苦しくなったり、医者からは「余命半年」と宣言される状態だった。

それが、ライザップでトレーニングを始めたら、体重がみるみる落ち始めて。2㌔㌘なら半日で落とせる。体重のコントロールもうまくなり、2カ月半で20㌔㌘の減量に成功。糖尿病も完全に治り、医者が驚いていた。今はピーク時から33㌔㌘減っている。リバウンドもなし。

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