また、蓮田さんは、「不登校特例校であっても、いちどうまくいったことはつい前例踏襲したくなるんですよね。そうすると、創意工夫が足りなくなっていきます。子どもたちも社会もどんどん変化していますので、多少なりとも未整備、未成熟な部分を残しつつも、われわれも常に新しい課題に向かって新しい教育環境をつくっていかないといけないという危機感はあります。学校にいるひとたちがつくる側のひとではなくて回す側のひとになってしまいやすいというのが学校という場がもつ構造的な問題なんだと思います」とも指摘します。
進学先は、大学が約4割、専門学校が約4割
星槎中高では、入試においても、単純に学業成績だけを見ているわけではありません。たとえばどんなに優秀でも常にマンツーマンでの対応が必要な子には対応できませんし、逆に学業的に課題が多くても、場面緘黙(人前で話せなくなってしまう心理的状況)でも、星槎中高という環境での飛躍を期待させる適性があれば合格の可能性があります。
この入試のしくみも日本の受験制度に一石を投じるものだと私は感じます。入試とはテストの点数を絶対的な基準として合否のラインを区切るものだという思い込みを、日本社会の多くのひとがもっています。しかし本来、テストの点数は参考でしかありません。その学校で学ぶのに適している子、その学校の先生が教えたい子に合格を与えるものであっていいはずです。実際に海外の大学入試ではそうなっています。ご縁なのです。
中学校卒業後の進路は、8割が内部進学、星槎グループの通信制高校(星槎国際高等学校)に進むのが約1割、残りの1割が外の高校への進学です。外の高校は、たとえば星槎グループ以外の通信制高校である場合もあるし、横浜翠嵐高校や小田原高校のような進学校の場合もあるし、インフィニティ国際学院という非常にユニークなしくみでグローバル教育を行う特殊な学校の場合もあります。
高校卒業後の進路は、大学が約4割、専門学校が約4割、公立の職業訓練法人に進むのが約1割、就職が約5パーセント、浪人が約5パーセントといったところ。
星槎中高の教育観の背景には、約50年にわたって蓄積された「星槎グループ」のノウハウがあります。星槎グループは、広域通信制高校の星槎国際高等学校(以下、星槎国際)をはじめとして、幼稚園から大学までを擁し、総生徒数は4万人を超える総合学園を中心とした組織です。
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