拙著『不登校でも学べる』で詳しく紹介していますが、星槎国際は、2000年代以降の広域通信制高校のブームの火付け役です。「学校が生徒に合わせる」がモットーです。不登校の低年齢化に対応するべく、星槎国際の校舎を利用して、小中学生のためのフリースクール「星槎ジュニアスクール」も全国各地で開校しています。
星槎グループの全教員が星槎教育研究所の開発した研修を受け、「支援教育カウンセラー」というグループ自前の民間資格を取得しています。部外者でも研修を受け、その資格を取得できます。
不登校や発達障害の問題がこれだけ多くなってきているなかで、教員免許を取得する際に、最低限の心理職的な知識や技能を身につけておくことを義務づけてもいいのではないでしょうか。ある意味、教科の知識よりも大切です。そうするだけでも、施設・設備などのハード面や、制度的なところはそれほど変えなくても、不登校でつらい思いをする子どもがだいぶ減るのではないかと、星槎中高の様子を見ていて私は思いました。
「『学校』をやるな」と言う創設者の真意とは!?
星槎グループの創立者である宮澤保夫さんは常々「『学校』をやるな」「『先生』をやりたかったら帰ってください」と言っていたそうです。旧来の「学校」や「先生」の枠組みにとらわれるなという意味です。
「子どもたちは未来そのものだし、ちっぽけなこの教室の中でのできごとが、未来の想像図なんで。学園として、お題目としては『共生』を掲げていますが、もっとはっきりいえば、学校を通した社会づくりなんです。それを研ぎ澄ました言葉として『人を認める 人を排除しない 仲間を作る』があります。公立の学校にはできないことに先駆的に挑戦し、モデルを示すことが私立学校の社会的意義だろうとも思います」とは星槎グループ本部の桑原さん。
「新型コロナウイルス感染拡大で、全国のご家庭が不登校を経験しました。通信制高校を選択するご家庭も増えています。国も個別最適化された学習とか言っています。こうなると、特例校の何が特別なのかなという疑問が浮かびますよね。不登校だからとか、特例校だからというのではなしに、学び方の1つの選択肢として、星槎中高の取り組みを参考にしてもらえたらうれしいです。凸凹があったって仲間と協力すればなんでもできるということを、うちの生徒たちは学びます。そうなると、不登校だから大変だとかかわいそうだとかそういう話ではなくなります。その意味では『不登校特例校』なんて言い方じゃなくてたとえば『個別最適校』とか、もっとポジティブな表現に変えるとか、そんな工夫も必要になってくるのではないでしょうか。そうやって、世の中の『フツー』が揺さぶられるといいなと思います」と蓮田さん。
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