不登校だった子が伸び伸び通っている学校の秘密 不登校支援約50年の実績活かした星槎中高の教育

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授業では基本的に教科書やノートを使用せず、生徒の習熟度に合わせたワークシートを使用します。生徒の興味・関心に合わせた素材を選ぶだけでなく、文字の大きさやふりがなにも配慮して作成されています。毎回の授業に集中できるように、1枚のワークシートだけでその日の授業が完結するように工夫されています。

通常の授業は1日5時間×週5日間の25時間にとどめ、毎日6限目を「個別の時間」と呼ばれる振り返りの時間にあてています。個別指導計画に沿って定められたそれぞれの目標をどれだけ達成できたかを毎日自己評価するのです。

さらにそれをもとにして、1クラス約20人の1人ひとりが順番に担任と短い面談を行います。これがカジュアルな相談・報告の機会にもなっています。生徒と担任の連絡帳のやりとりを、毎日欠かさず対面で行うイメージです。

個別の時間で生徒1人ひとりのそのときどきの課題や困り感にいかに寄り添えるかが、星槎中高の教育としては非常に重要だと太田さんは強調します。今後はこれをデジタルデバイス上に反映し、保護者にも即時的に共有できるしくみに進化させる予定です。

困り感がわかりづらいのがグレーゾーンの難しさ

ただし生徒たちの前で「不登校特例校」という表現はしません。学校としては、「人間には誰しも苦手がある。それに対して自分のペースでチャレンジしていくために、学び方が選択できる学校」という言い方をします。水面下ではさまざまな配慮がされていますが、生徒たちにとってみれば、普通の私立中高一貫校に通っている感覚となんら変わりがありません。

だから、フツーの学校になじめない子どもたちが、フツーの学校に通っているように見えるのです。

ただし「そのこと自体に落とし穴がある」と、星槎中高事務長の蓮田亮大さん。「そこがグレーゾーンといわれる子どもたちの難しさです。外からも本人からも、わからなさがわからなかったり、困っていることがわからなかったりすることが、彼らの生活をより困難にしている面はあるんです」と言うのです。

次ページつくる側のひとではなく回す側のひとになってしまいやすい
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