「他社の動向に敏感な人」がうっかりハマる甘い罠 「Believe It」に見る米国人気通販番組の舞台裏

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私たちのビジネスにとっての最大のリスクは、ライバルが何をしているのか、じゃないの。相手の動向に気を取られて、影響を受けることで、自分たちの成功要因を失くしてしまうことなのよ、と。

私が何度もそう口にしたので、私に同じことを言う者はしばらくはいなかった。友情や人間関係と同様に、ビジネスにも同じことが当てはまる。ビジネスであなたが本物の関係を結ぶ相手はお客様だ。

本物が持つ力を実感することで、多くのプレッシャーやストレスが取り除かれる。なぜなら、あなたは1人しかいないから。そしてあなた以外の誰かになろうとしても、絶対にうまくいかない。これを頭に叩き込むことで、あなたは自由になれる。

今でもQVCにチャンネルを合わせるたびに、顔見知りのプレゼンターを大勢目にする。本番で最高のパフォーマンスを見せる人は、オフでも変わらないことを、私は早い段階で学んだ。

一発芸や誇張では長期的には成功しない

かなりの成功を収めているブランドの創業者の中には、特異な個性を持ち、独特のオーラを醸し出し、放送中の視点がブレず、舞台裏でもまったく変わらない人たちがいる。

一方で、放送中に一発芸をかましたり、大げさに演じたり、売上を露骨に見せつける人たちは、長い目で見ると決して成功しない。入ってきてはすぐに消えていく。

あなたが本物でいる時だけ、視聴者はあなたとつながることができる。そして、本物は偽れない。

マリービューティの創業者であるマリー・ロンキャルは、QVCを象徴する人物だ。

ビヨンセのメイクアップアーティストだった彼女は、愛と平和を体現し、メイクの腕も一流だ。テレビでは100万人に1人のエネルギーを放っている。きらびやかで自信にあふれ、愉快で笑いの絶えない存在だ。

いつもそんなふうに生きられる人なんているのかしら、と思うだろう。けれどQVCのオフィスでは、マリーの笑い声は廊下まで聞こえるし、午前3時に駐車場に入ってくる時だってまったく変わらない。

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