犬の5倍「殺処分される猫の6割は子猫」という悲劇 「野良猫に餌やり」は必ずしも美徳とは限らない

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そこで、平成24年の改正動物愛護管理法では、「殺処分がなくなることを目指す」ことを自治体の目標として掲げ、飼い主や動物取扱業者にも「終生飼養」の努力義務を課したのです。また、正当な理由がなければ犬や猫の引き取りを自治体が拒否できる措置も設けられました。

そのため、保健所管轄の動物保護管理センターなどでは、正当な理由がなく引き取りを求める業者や飼い主を粘り強く説得して継続飼育を促し、また引き取った犬や猫はその活動に加えて、動物愛護団体や動物愛護推進員(平成15年度より飼い主の身近な相談委員として活躍)などと連携して、譲渡に尽力してきました。

その努力の甲斐があって、地域差はありますが、犬や猫の殺処分数は年々減少してきたのです。

殺処分された猫の66%が子猫

しかしながら、犬の殺処分は大きく減少しているのに対し、猫の殺処分は1万9705匹とまだまだ多い状態です。その理由には、もともと引き取られる猫の個体数が多いこと、なかでも幼齢の子猫の殺処分率が全体の66%と高いことが関連しているようです。

犬の場合は狂犬病予防法により、野良犬は「抑留のために捕獲する」が基本です。しかし、猫に対する法律はなく、全国のどこにでも飼い主のいない野良猫がたくさんいます。

猫は交尾の刺激によって排卵する交尾排卵のため、高い確率で妊娠します。性成熟は生後6カ月くらいと早く、年に3~4回の出産が可能です。また一度に産む子猫の数も5~6匹と多いので、雄と雌がいればネズミ算式に増えていきます。

筆者の住む滋賀県の動物保護管理センターの職員は、「野良猫に餌やりをする人がいて、餌が豊富だとそこに野良猫が集まり、子猫が頻繁に産まれてしまう。その子猫が保護されて持ち込まれる例が多い」と話します。センター周辺の子猫の置き去り、飼い主が不妊手術(避妊・去勢手術)をしなかったために産まれてしまった子猫の持ち込みもあるそうです。

滋賀県動物保護センターの猫の飼育ケージ(筆者撮影)

滋賀県でも幼齢の子猫(同県では生後3カ月未満を幼齢個体としている)の収容が多く、その数は令和2年度は547匹(飼い主から80匹、所有者不明467匹)となっています。そのうち殺処分になったのが406匹。猫全体の殺処分数は481匹であることから、幼齢の子猫の殺処分率は約85%になります。

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