犬の5倍「殺処分される猫の6割は子猫」という悲劇 「野良猫に餌やり」は必ずしも美徳とは限らない

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保健所に引き取られる猫は、飼い主のいない野良猫ばかりではないようです。コロナ禍でペットを飼う人が増えている一方で、「飼えなくなった」と持ち込む人が後を絶たないといいます。

滋賀県動物保護センターの猫の運動場と対面場所(筆者撮影)

前述したセンターによると、飼えなくなったと持ち込まれた猫は令和2年度では204匹にのぼります。その理由として急増しているのが、高齢者による「世話ができなくなった」「入院することになった」「亡くなった」というもので、特に不妊手術を怠ったために多頭飼育となり、飼いきれないというケースが目立っています。

高齢の飼い主が猫を手放す時期には猫も高齢である場合が多く、新たな飼い主への譲渡が難しい。たとえ親族であっても引き取るケースはまれだとか。また、多頭飼育の場合には想像を絶する数の猫を一気に引き取らなければならないため、収容スペース不足になる。このようなケースも殺処分が減らない要因となっているのです。

猫の殺処分を減らすためにできること

近年、全国各地で問題となっている猫は、飼い猫が捨てられた、あるいは放し飼いの猫が繁殖して増えたものです。無責任な飼い主による飼養の結果で、猫に罪はありません。

では、猫の殺処分を減らすために私たちができることはどんなことでしょうか。滋賀県動物保護管理センターの職員は「飼い主や餌やりをする人が適正な飼い方や関わり方を考え、収容される猫を減らすことが重要」と話します。具体的には下記のようなことです。

■飼い猫も、餌やりをしている野良猫も、不妊手術を行う
■長生きの猫は20年以上生きるので、飼い始める年齢を考える
■猫の健康や安全を考えて完全室内飼育にする
■災害、事故、盗難などで身元不明にならないように、飼い猫にマイクロチップを装着・登録をする※マイクロチップに関しては筆者の記事「飼い犬・猫へのマイクロチップ装着『悩む』飼い主」を参照
■新たに猫を迎える際に保健所にいる保護猫も検討してみる
■飼い主が高齢の場合、また1人暮らしの場合には、万が一のときの譲渡先を決めておく
■野良猫が多い地域の場合、猫との共生を目指し地域での取り組みを検討する

同センターでは、放し飼いや無責任な餌やり防止の啓発・指導、地域猫活動補助金による不妊去勢手術の実施、高齢者の飼育放棄や多頭飼育対策など、殺処分を減らすために懸命な啓蒙活動を続けています。

しかしながら、不幸な猫の発生を止められるのは、飼い主と餌やりをする人の「責任」と「自覚」にほかなりません。蛇口を閉める役目を担うのは、私たち1人ひとりなのです。

阪根 美果 ペットジャーナリスト

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さかね みか / Mika Sakane

世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者・Pet Saver(ペットの救急隊員)。ペットシッターや保護活動にも長く携わっている。ペット専門サイト「ペトハピ」でペットの「終活」をいち早く紹介。豪華客船「飛鳥」や「ぱしふぃっくびいなす」の乗組員を務めた経験を生かし、大型客船の魅力を紹介する「クルーズライター」としての顔も持つ。

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