「体重に支配された人生」を変えたモデルの試み 元過食症のプラスサイズモデル・吉野なおさん

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それを見ているうちに、「もしかして、楽しく生きるために体重ってさほど重要じゃないんじゃないの?」と気付いたんですよ。

さらに、「私はこれまでみたいに自分の体型に悩み続けたまま、おばあちゃんになっちゃうのかな?」なんて考えた時に、「それってすごく損じゃない?」とも思って。

自分を受け入れることで、過食症を克服

それを機に「自分を受け入れたら、どうなるんだろう?」と考えて、少しずつ小さな試みを行ってみることにしました。

(写真:Woman type)

まず、「痩せたら着よう」と思ってとっておいた服を全て捨て、代わりに今の自分に合ったサイズの服を買いに行きました。

食べる物についても、本当は食べたくないのに「カロリーが低いから」とか「栄養バランスがいいから」という、外からの情報で決めたものではなくて、「今、何を食べたいのか」「何を食べれば心が満たされるのか」を自らの心に問い掛けて、それを自分に食べさせてあげるようにしたんです。

カレーが食べたいと思ったとき、家にカレーがなかったとしても、代用品で済ませるのではなくてちゃんと材料を買いに行って手をかけて作ってあげる、とか。

食べたいものを手間ひまかけて自分に与えるようにしたら、達成感も湧いて不思議と「普通に食べる」ことができるようになり、気づくと過食症を克服することができていました。

「痩せなきゃ」と決めつけて、自分の気持ちを無視して無理やり食事を制限するのではなく、とにかく今の自分の気持ちを大事にすることを最優先にした結果かな、と思います。

それからは、自分の体を変えるよりも、自分の価値観を変えるために行動することを大切にしました。

例えば、InstagramなどのSNSでは、女性の場合、痩せている方やダイエット情報の投稿が目立ちますよね。でも、少し視点を広げて海外にまで目を向けてみると、さまざまな体型の人が自信に満ち溢れた表情で自己表現をしている。

次ページ「同じ悩みを持つ人に、この経験を伝えたい」と考えるように
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