「体重に支配された人生」を変えたモデルの試み 元過食症のプラスサイズモデル・吉野なおさん
とにかく食事を減らして減量することを優先した状態だったので、健康状態も最悪でしたが、私にとっては痩せることが大事で。結局、その反動で過食症になりました。
当時は「痩せなきゃ」ということばかり考えていて、自分の人生が体重に支配されているような感覚。無理なダイエット経験とリバウンドを経て、より体型コンプレックスは大きくなり、生活や仕事にも影響していました。
例えば、接客の求人を見て「いいな」と思っても、規定の制服があると「私が着られるサイズの制服なんてないだろうから無理だ」と問い合わせたわけでもないのに自分で決めつけて諦めてしまうんです。
さらに、働き始めてからも、人間関係で悩んだり、仕事がうまくいかなかったりすると、過食衝動がより加速し、「また醜くなった」と思い悩む日々。
食べている間は安心するのですが、食べ終わった後は罪悪感にかられるんです。体重はさらに増え、負のループに陥っていきました。
「食べてはいけないと分かっているのに、なぜ食べてしまうんだろう?」「痩せていない私は美しくない」20代前半の頃まで、ずっとそんなことを思い悩みながら過ごしました。
ネガティブ思考を変えたのは、体型ではなく価値観
そんなネガティブ思考から抜け出すきっかけが訪れたのは、20代半ばに差し掛かった時でした。
当時はとある企業で事務系の仕事をしていたのですが、業務の一環でたくさんの人のプロフィール写真を見る機会がありました。
何百人、何千人もの個性豊かな人々の写真を見ているうちに「人って全員見た目が違うんだな」という当たり前のことに気が付いたんです。
私はそれまで「痩せないと人生はうまくいかない」「太っていたら誰にも必要としてもらえない」と思い込んでいたのですが、プロフィール写真なので、ぽっちゃりした女性も素敵な笑顔をカメラに向けていて。