横山剣「想像していなかった」60代で知った楽しさ 若い頃は28~32歳くらいを大人と思っていた
──恋愛のかけひきをテーマにしている楽曲もあれば、ご自身の出生をたどる「The Roots」も。
横山:「ご先祖様を敬う」って、若い頃にはそういう気持ちがあっても、楽曲にすることには抵抗がありました。でも年齢を重ねるとずうずうしくなるのか、今なら歌っても許されるのかなと思ったんです。
実は1年以上前から制作していた楽曲で、ベーシストのParkくんに共同プロデューサーとして参加してもらったことで、自分が思った以上の仕上がりになりました。
新しい方と関わるのは勇気がいることですが、ネクスト・レベルにシフトしたいなら、即実行が大切だと思いましたね。以前にも、ライムスターさんや小西康陽さんなど、時々でさまざまなクリエイターと共演させていただきましたが、今回もそういう時期に入ったのかなって。
歴史を踏襲しつつ驚きや斬新さがあるものに引かれる
──音を変化させることに、抵抗感はないのですね?
横山:その瞬間に好きと思ったものを取り込みたいんです。クルマも同様なのですが、伝統を引き継いでいるだけじゃ刺激がないし、興味をそそられない。歴史を踏襲しつつも、どこかに驚きというか、斬新さがあるものに引かれますね。そのほうが退屈しませんし。
──新しさの追求と同時に、1980年代に制作した「スカジャン・ブルース」も収録。
横山:ずっと発表するタイミングを探していた楽曲で、それが今だなと思って。完成させた頃だと、カッコつけている感じしかなくて、ワイルドさを表現できなかったかも。「スカジャン」なんて言葉を歌うのも、当時恥ずかしかっただろうし。
また「タイガー&ドラゴン」がリリースされて今年で20年を迎えることも、発表に至った大きな理由です。当時のジャケ写はグリーンのスーツを着ていたので、本作はグリーンをテーマカラーにした部分もあるんです。いろんな思いのこもった作品になりますね。