横山剣「想像していなかった」60代で知った楽しさ 若い頃は28~32歳くらいを大人と思っていた

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──クレイジーケンバンド(CKB)を結成して25年。どんな時間でしたか?

横山:密な活動ですね。つねにスケジュールで埋まっていて、振り返ったり、悩んだりする時間がなくて。心を亡くすと書いて忙しい。つまり、いい意味で「心を亡くす」ことで走破できた25年と言えます。

隙間恐怖症なんですよ(笑)。音楽活動をしていない時間もクルマのレースに参戦したりして、今では、遊びと仕事の境界線がない感じ。そもそも音楽も、趣味の延長で続けていますからね。そうしないと楽しんで取り組めないところはあります。最近は年下のミュージシャンから多くの刺激をいただいたりも。

──ちなみに、注目している年下のミュージシャンは?

横山:娘の影響ですが、藤井風が好きです。音楽はもちろんですし、醸し出すムードも色っぽい。見ていて目の保養になりますよ(笑)。また娘も、昭和のオールディーズな音楽にも興味を示していて、それを教えたりとか。音楽を通じて、親子のいいコミュニケーションがとれている状況ですね。

『樹影』 は、曲づくりしていた喫茶店の名前で僕の原点

『樹影』 クレイジーケンバンド

通常盤[CD]3300円、初回限定盤[CD+DVD]7480円(8月3日発売)/ユニバーサルシグマ

22作目の、ラジオ番組のような構成の全18曲。初回限定盤のDVDには、昨年中野サンプラザにて行ったライヴ映像を収録。

──とても重厚感のあるタイトルですね。

横山:『樹影』は、僕が10代の頃に横浜・本牧で働いていたガソリンスタンドの近所にあった喫茶店の名前なんです。休憩時間になると、そこでいつも歌詞やメロディーを考えていたというか。自分の将来を思い描いていた、原点と言える場所。また、言霊というか、文字霊が強い気がして、このタイトルにしました。

──その喫茶店がなければ、今の横山さんは存在しなかった?

横山:そうかもしれないですね。お店自体は1980年代に閉店してしまったのですが、店内はボタニカルな雰囲気もあって、それが印象的で、1960年代にセルジオ・メンデスが発表したアルバム『マシュ・ケ・ナーダ』のイメージも重ねてジャケットを制作しました。

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