青木さやかさん「有名になったのに孤独になった」 誰もが自分を知っているという恐怖に近い感覚
最近は文筆家としても評価の高い青木さやかさん。かつては「有名になりたい!」と猛烈に思っていたのに、ようやく有名になった時に感じた「独特の感覚」。売れたくて、人気者になりたくて必死に頑張った青木さんが、頂点に立ってわかったことを、青木さんの新著『厄介なオンナ』から抜粋してお伝えします。
わたしは確かに有名になりたいと願っていた
わたしはとても有名だった時期がある。表参道の靴屋さんにいたら、外に人だかりができていて、何があるんだろう? と思ったら、わたしを見に集まった人たちだと知って驚いた。じろじろとみられて、ぞろぞろとついてきて、怖かった。
その3カ月前まで、わたしは確かに有名になりたいと願っていた。そうすれば知り合いが増えて、みんながわたしを知ることになるから、きっとわたしが抱えているこの孤独は埋まるのだろうと考えていた。
しかし、どうだろう。そのとき、わたしは都会の真ん中で知らない人に囲まれてこう叫びたい気持ちでいっぱいだった。
「世の中全員、わたしを忘れてください」
有名になることが孤独を埋めることではなかった。むしろ知らない人がわたしに対していろんな感情をもっているのは恐怖に近かったし、いつも見られながら生活するのは落ち着かなかった。一歩外に出るといつも誰かに見られていると感じながら暮らした。
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