リンガーハットは、なぜ「復活」できたのか 長崎ちゃんぽんの雄、あるブームが追い風に
もっともリンガーハットの営業利益率は5%前後。「中華食堂日高屋」を運営し、2ケタ以上をたたき出す「ハイデイ日高」などと比べると、外食業界内では決して高くはない。従業員の平均年収が701万円(平均年齢43.4歳)と相対的に給与水準が高いという事情はあるものの、ますます経営の効率化が求められるところでもある。
リンガーハットの例は象徴的だが、外食業界での野菜人気は、さまざまな場面で垣間見ることができる。大阪市東住吉区の「優心」。もともと食材会社に勤務していた大原栄二さんが食品と健康の結びつきを痛感し、「体にやさしい」をコンセプトにしたうどん店を2014年3月に立ち上げた。
野菜ソムリエの資格を有するため、「5種野菜の焼き天ぷらうどん」など随所に野菜を採りいれる工夫がある。さらにうどんメニューをオーダーすれば、レタスや玉ねぎ、四種野菜の酢の物をはじめ、各種野菜、自家製豆腐などが食べ放題の「サラダバイキング」が無料で味わえるほどのこだわりぶりで、人気を博している。
「うどん県」が野菜摂取を推奨
讃岐うどんで知られる香川県は「うどん県」を標榜するほど、うどんを消費する。一方、これには弱点もある。香川県の人口10万人当たりの糖尿病受療率(患者数)は、2011年に308人。全国平均で185人なので、実に約1.6倍にも上り、全国ワースト2位(2008年はワースト1位)という不名誉な記録がある。端的には言えないが、炭水化物が主体のうどんは体内で糖分へと変わることが要因の一つなのかもしれない。
そこで香川県が主体となってWebサイト「かがわ糖尿病予防ナビ」を開設し、糖尿病の基礎知識から県の現状、取組みを紹介している。2011年県民健康・栄養調査では野菜の摂取量は、一日あたり260gと目標量の350gを大きく下回り、糖尿病が疑われる人では野菜の摂取量が少ないという結果や、めん類を食べた人の野菜摂取量は240g、食べていない人では267gと差があったことから、うどん店での野菜摂取量アップを目指して「ヘルシーうどん店マップ」を作成し配布している。
昨今の飲食店は、過去にあった「ボリューム重視」の時代から「健康志向」へとシフトしている。「安心・安全」というキーワードとともに、外食業界における新たなトレンドの萌芽を感じる。
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