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「製作費120億円映画」お蔵入りの独善に業界憤然 製作者への裏切りはハリウッドの負の遺産に

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  • 猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト
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たしかに、DCを抱えるワーナーは、ライバルのマーベルのように潜在性を十分活かしきれてこなかった。そこにテコ入れをすることに何も疑問はない。それはやるべきことだ。しかし、このやり方は果たして正しかったのだろうか。

時代が進化し、フィルムからデジタルになって、家ではビデオではなく配信で映画を見るようになっても、映画作りはまだ人との関係が大切なビジネスだ。スタジオのトップやプロデューサーは、大物スターや監督とどれくらい親しい関係にあるかで成功の度合いが決まってくる。とりわけワーナーは、伝統的にフィルムメーカーに優しいことで知られてきた。

懸念される負の遺産

だが、前任者のカイラーが2021年に公開される映画をすべてHBO Maxで同時配信することをフィルムメーカーらに何の相談もなく決めたことで、ワーナーは、「映画とは映画館で見るもののこと」と信じるクリストファー・ノーランを失ってしまっている。

そこへきて、今度はザスラフが、エル・アルビ、ファラー、グレース、キートン、J・K・シモンズらが一生懸命作った映画を鶴の一声でボツにしたのだ。

ワーナーのスポークスパーソンは、「『バットガール』と『Scoob!〜』のフィルムメーカーとキャストには感謝しています。近い将来、ぜひまた一緒に組ませていただけることを願っています」と声明を発表したが、こんなことをされた側にしてみたら、もう信頼できないのではないか。それどころかトラウマになっているかもしれない。当事者以外のフィルムメーカーも、しばらくは様子見しようと慎重になることも考えられる。

もちろん、これは一時期のショックで、ここから実にしっかりした体勢が整えられていき、ワーナーが今まで以上に優れたスタジオとして成長していくことも十分ありえる。そうなれば、立派なサクセスストーリーとして語り継がれるだろう。だとしても、将来、その物語の最初の部分を語る時、業界人はいつも一縷の無念さを感じてしまうはずだ。

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